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 霧谷玲鷗きりたにれおん……。


 謎の不良。


 いや、何回か一緒に現場に出て、玲鷗れおんは裏表のない不良(……とまでは今は思ってないけど、金髪で軟骨にバシバシピアスを開けてて、何より体中傷だらけだし、だって筋トレの時脱ぐから……!目に入ってしまう)のだ。


 悪い奴ではないと思う。

 あと、行ってないらしいけど、行ってたら高校生。そうちゃんと同じだ。


 玲鷗れおんとシュウジとアタシ。

 ナノゲイルレイダーとハイドロレイダーで熊本のホーリーチェリーを叩く。


 そうちゃんは、ハワイも熊本も両方乗ると言ったけど、時間がない。

 搭乗は明日。


 アタシは同じ轍は踏まない。

 心を穿つ穴があるなら、仲間として、事前に埋めたい。


 というわけで、アタシは玲鷗れおんとシュウジをトレーニングルームに呼び出していた。


「で、搭乗の動機は……?」


「動機かぁ……まぁシンプルにかっこよくね?こんな俺でも、誰かを救う手になれるんだって思ったら嬉しいし」


「こんな俺でもって……聞いてもいい?」


「別にいいよ。俺、孤児みなしごなんだ。つっても施設の仲間とは仲いいけどよ。でもなんかこうさ、普通には足りてないって思ってて、こんな俺がヒーローになれるチャンスっつうか」


「その傷……」


「あぁ、これは3年くらい、地下プロレスでバイトしてたんだ」

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