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 えっ何が起こった……?


 夕陽の下で、黒曜石の瞳が悪戯に笑う。

 妖精の魔法みたいに。


 

「キ、キ、キ、キ、キ、なにすっ――…………!!!!!!!」


 まだ感触が残る頬から、アタシの心拍数は爆発する。



「サービス完了ぉ~☆ミカはチョロー☆」


 うぅ……アタシってチョロかったのか。


「研究者とか趣味がハッキリしてる人に多いよ~ならない人。さっ、早く帰ろー☆お腹空いちゃった☆」


 うぅ……確かに、そうちゃんとシュウジは今はHyLAハイラに夢中だ。おそらく玲鷗れおんも。(ごちゃごちゃ居すぎて忘れてたけど、そういえばサブローも居た……)。ショウコも紅茶に夢中だし、幸子さちこにとってキラキラなしで話しやすいのかもしれない。趣味……趣味か……。


 本読む時間、ないんだもん!!!



 心の中で言い訳を繰り返しながら、絶好調の黒髪幸子さちこの隣でワープした。



「ねー今日のおかず、なにかなー?☆」

「……知らない。またポテトサラダじゃないの!」

「えーポテサラ大好きー☆でも違かったら悲しーから、予想しないでおこー☆」

「なんで聞いたの!?」


 スチール風の階段をカン、カンカン、カンカン……と鳴らしていく。


 鍵は開いていた。


「……あのさ!」


 玲鷗れおんが畳で腕立てをしている。


「自分ちでやってもらっていいですかね!?」

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