51

「がっはっはっはっは!」


 玲鷗れおんが豪快に笑っている。

 金髪と白い歯が夕陽を反射してやけに眩しい。


「はい、みっちゃん」


 下の部屋で揚げてきてくれた唐揚げをそうちゃん、というかなぜかアタシたちの叔父を名乗る星ヶ咲宗二ほしがさきそうじという男がアタシの前に置いた。

 赤いゴーグルのせいで表情が見えないけど、そうそう、そうちゃんの唐揚げって本当においしいんだ。


「あ、ありがとー、ゴーグルおじさん」

「ちょ、幸子さちこ!それアタシの唐揚げ!」

「いーじゃん☆いっぱいあるんだからぁ~☆」

「ダメっ!」


 それでなくても最近この家のおかずは、光のスピードでなくなってしまう!確保確保っ。


「けちー!☆」

「たくさん食べたでしょ!ていうか、幸子さちこ!搭乗中に私語やめなよね!」


 おかげで正気に戻れた。けど。


「LIVE音声は切ってたもーん☆てかね、ミカとシュウジくんとおじさんさ、即時吹き替えしてるじゃん?☆アタシも、ハピたんぽくない振る舞いは切っちゃう設定にしたのだー☆」


「……あっそ!」


 心配してソンした。


 なんか、幸子さちこは思ったより普通の中一で、でも仕事の時はプロだ。

 ハピたんの存在が誰かの心をあったかくしてるのは間違いないから。


 それにしても玲鷗れおんの声はデカイし、どうして搭乗の打ち上げもウチでやるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る