38

「うまい!!!」


 サブローは野沢菜と卵のおにぎりを両手で頬張って、涙を流している……かどうかはサングラスでわからないけど、なんだかそんな声を出した。


「いや、シュウジに聞いたんで」


 シュウジは何故か、誰の好みもすでに知っていたりする。


「味噌汁と合~う~」


 確かに、おにぎりとお味噌汁って異様に合う。


 からあげもあれば最高なんだけど、うちではからあげを揚げられる人はいなかった。残念。


「で、ライズブレスってなんなんですか?」


「ん!?」


 おにぎりに夢中過ぎるだろ!サブローよ!!!


「ごめんね、あねそうちゃんと決めたんだ。乗るだと、ライドとかになっちゃって何かしっくりこなくて、ライズならカッコいいかなって」


 あぁもう勝手にしてクダサイ。


「え、でもそしたら、そうちゃんは休み中も乗るってことですか?」


「……本人が希望したんだ。……お兄ちゃんですから。って」


 サブローが味噌汁をすすりながら言った。


「ミカ。ちゃんと、どうしてもピンチな時だけで大丈夫って言ったよ。写真沢山送ってね、って。」


 母、グッジョブ!

 休み中も前みたいに乗られたら、意味がない。


「まぁ、君たちもこれまでどおりで構わない。これを見てほしい」


 サブローは黄色のライズブレス……?をちゃぶ台に三つ置いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る