第4話

【2126年12月23日・未明・ミウラエリア・ジョウガアイランド・アジト】

姫を奪取したのはいいが…

目覚めない。

死んじまったのか?

…………‥‥‥‥・・・・


「ん・・・?」

起きたな。

「姫。おはよう。」

この少女が我々の運命を握る。イフリート。

そして、

「俺の名前はノウマン・フェアリーフィールド。ノウマンって呼んでくれ。」

…怖がってるのか。仕方ない、あんなことされればな…

しょうがない。付け耳を取ろう。


「!…あなた、旧人類なんですか?」

ふう。

心はつかんだな。


「俺は新人類に擬態したんだ。

さらに『12人の真実の殺し屋』としてこの日が来るのを待っていた。」

姫は未だに怖がっているのか…

「ま・・・マリア様は今どこに?」

やっぱり。そう来るとは思ったが。

「命の危機だ。あんたの力を貸してほしい。」


姫を追ってマリア・ハウンドがけがをしたこと、

マリア・ハウンドは現在、ハウンド記念総合病院で、

瀕死でドナーを待っていること、

マリアの血を貰った姫だけが適合すること、

あと1日持つかどうかということを説明した。


「行きましょう。ノウマンさん。」

姫は立ちあがった。

「『さん』はいらないよ、姫。」

姫にも耳を付けて、北を目指した。


【同日・昼・ニューヨコハマ・セントラルエリア・ハウンド記念総合病院】

「すみません。マリアさんのドナー来ました。」

そういうと看護師は中に通した。


姫は『クレア・レッドフィールド』という

偽名のプライバシーチップを入れといた。

旧人類に対しては病院はとても厳しいところがあるし、

もうの理由があって、一つの作戦を行うために用意した。


俺は姫に終わったら待っていてくれと告げて出て行った。


俺は姫を助けるために奪取したわけじゃない。

使うため・・・だ。


姫には悪いけれど…。


【同日・昼・ニューヨコハマ・コズクエ・病院前】

殺気がひしひしと伝わった。

どこかに、殺し屋がいるのか。

確かにハルミの隠れ家は爆破したはず。


しくじったか。

とりあえず。路地に入っておびきだろう。


【同日・昼・ニューヨコハマ・コズクエ・路地】

「よう。殺し屋ディンゴ。」

白髪交じりの細身の男が現れた。

「気付かれたか。ノウマン。」

ディンゴの手には、17号拳銃が握られていた。

「おいおい、ここで殺す気か?」

改造されたスコープ付きの17号拳銃。

仕方ねぇな…

コートをディンゴに投げつけて逃げる。


くそっ。袋小路だ。

ホルスターからリニアガンを抜いて構えた。


足音が近づく。

まだ……

まだだ……

路地に出て、ディンゴの銃を撃つ。

宙を舞った銃。

ディンゴはナイフを抜いて待ち受けていた。

しかし、居合いのまねをして、気絶させた。

奴は12人の中では弱い方だ。リーダーが生きてたらと思うと…ゾッとするな。


【同日・夜・ニューヨコハマ・セントラルエリア・ハウンド記念総合病院】

どうやら輸血は済んでいたみたいだ。

姫はベットで寝ていた。

そのうちに…やつを片づける。


リオン・ハウンド。


奴の表の顔は共生官だが、裏では12人の真実の殺し屋の一人。

カワサキの事件を行った主犯。

奴はこの病院に居るはず。



【同日・夜・ニューヨコハマ・セントラルエリア・ハウンド記念総合病院・病室】

確かに奴がいた。

無防備。しめた。


輸血のパックに赤いケチャップを入れた。

そして、仕事を終わらせた俺は、姫を抱えて、移動を開始した。


弟を助けるために。


【2126年12月24日・朝・メガフロート・ニューキバ・ウルフドックカンパニー第2工場・周辺】

「おはよう。姫。」

悪意のこもった顔で姫を見つめた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る