第3話

【たいむあんのうん・ふめい】

あたまがボーっとする。

わたしは…たぶんイフリート。

まわりはあかいゆかがひろがっていく。


【2126年12月22日・朝・カワサキ・とある病室】

気がつくと朝。

あのパーティの次の日だ。

私は病院に搬送された、重度のやけどだ。

イフリートと、リオン兄さんのことが脳裏に浮かんだ。

無力だ。自分は無力……


【たいむあんのうん・ふめい】

わたし、どうなるんだろう。

しんじゃうのかな。


【2126年12月22日・昼・ニューヨコハマ・セントラルエリア・ハウンド記念総合病院・病室】

居てもたってもいられずに病室にやってきた。

トミーがそこで倒れていた。銃で心臓をやられたようだ。

しかし、廊下はなんともなかった。

窓から侵入したのだろう。

そこに刑事が駆け付けた。

2番目の兄、ジョンだった。

「こりゃひでぇな。…マリアじゃないか。」

真っ先に気付いてほしいものだ。

「昨日のカワサキの事件知ってるでしょう。」

さっきより低い声で、

「ああ。イフリートちゃんが連れて行かれた。ここでか…。」

部屋の中はずいぶんともみ合ったようで、ベットもボロボロになっていた。

何かないか………………‥‥‥・・・

コートの切れ端。

「マリア何を見つけ…コートの切れ端。

…化学繊維?」

化学繊維はここらのニューヨコハマ自然保護区域では使ってはいけない。

ここに隣接する使用可能な地域はメガフロートだ。

私は急いでメガフロントへ向かった。


【たいむあんのうん・ふめい】

だれかきた。

マリアさま…こわいよ。

こえがでないよ…。

……………


【2126年12月22日・夜・メガフロート・ハルミエリア】

メガフロート。かつてはダイバと言われていたそうだ。

しかし、記憶をえぐられる感覚。

これは…一体……


【回想】

イフリートが語る。

「私は、怖かったんです。体も心も、痛みつけられて…」

心底怯えきった様子で、イフが話す。

確かこれは13歳の頃私が解放派になったわけだ。

「人じゃないと言われ、鎖でたたかれ、ハサミで切りつけられ…」

うっすらイフの黒い瞳に涙が浮かぶ。

「その時でした…」


【2126年12月22日・深夜・メガフロート・ハルミエリア】

私は既に街を駆け抜けて、くたびれていた。

インプラントフォンが鳴った。

ジョン兄さんだった。

「マリア。今ハルミか?」

疲れて荒い声で言った。

「そうよ。なにか分かった?」

いつもよりもきっぱりと、

「そこから離れた方がいい」

そのまま続けて、

「確かな筋からの情報だ。ここら一帯、爆破される。」

言葉を詰まらせずにさらに続けた。

「逃げるんだ。マリア。」

しかし、その言葉が終わる前にカワサキの会場と同じあの白い閃光。

世界が白くなり・耳が聞こえなくなり・体に激痛が走り、意識を失った。


ここで私の物語に休符が打たれる。

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