【辛口ホームドラマ】チャーミー(平成30年台風24号災害)

佐伯達男

【プロローグ・悲劇の始まり】

時は、2018年4月8日の午後2時過ぎであった。


場所は、今治市小泉にある市政50周年記念公園にて…


園内にある大蓮池はすいけの近くの広場で深刻な事件が発生した。


広場のベンチに、5歳の女の子と30代の男性が座っていた。


この時、60前のなさけない男が女の子に接近した。


なさけない男は、女の子になれなれしい声で言うた。


「おじょうちゃん、ママがおじょうちゃんを探していたよ…一緒に行こうか。」


女の子は、首を横にふって『イヤだ!!』と言うた。


なさけない男は、女の子にやさしく言うた。


「おじちゃんは、パパとママの昔からの知り合いだよ。」


それでも女の子は、首を横にふって『イヤだ!!』と言うた。


なさけない男がちいちゃい女の子に対してしつように迫っていたので、となりにいた男性が止めに入った。


「コラオドレ!!」

「なんだよぅ〜」

「女の子がいやがっているからやめろよ!!」

「ぼくはこののご両親にたのまれたのです…」

「ウソつくな!!」


(ドカッ!!)


止めに入った男性は、なさけない男を体当たりで攻撃した。


「助けてくれ〜」


なさけない男は、止めに入った男性から攻撃を受けたあとその場から逃げ出した。


しかし…


「わあああああああああああああああああああ!!」


(ドボーン!!)


なさけない男は、逃げる途中で大蓮池はすいけに転落した。


「助けてくれ〜」


なさけない男は、大蓮池はすいけに転落したあとおぼれまくった。


それから2時間半後のことであった。


ところ変わって、イオンモール今治新都市の中にあるイオンスタイルにて…


家政婦おてつだいさんを務めている新居見志桜里にいみしおり(26歳)は、夕飯の材料の買い出しをしていた。


(ピッ、ピッ、ピッ…)


志桜里しおりは、やとい主の奥さまからたのまれた食材を購入したあと、セルフレジで精算していた。


しかし…


志桜里しおりは、うっかりミスをやらかした。


「ああ、きのこを買うの忘れてた〜」


うっかりミスをやらかした志桜里しおりは、買い忘れたものを取りに行くためにセルフレジから離れた。


セルフレジには、精算途中の食材が放置されていた。


この日の夕食は、肉を焼く予定であった。


しかし、精算中にきのこを買い忘れたことに気がついたので志桜里しおりはオタオタおたついた。


オタオタしている志桜里しおりは、セルフレジから離れたあときのこが置かれている陳列だなに行った。


(ピンポン…)


そんな時であった。


館内にチャイムが鳴ったあと呼び出しの案内が放送された。


この時、志桜里しおりに警察署から電話がかかっていると言う知らせを聞いた。


志桜里しおりは、大急ぎでサービスカウンターへ行った。


ところ変わって、催事場イベントスペースにあるサービスカウンターにて…


志桜里しおりは、ものすごくおたついた表情でサービスカウンターにやって来た。


「すみません〜」

「ああ、新居見志桜里にいみしおりさまですね。」


志桜里しおりは、受話器を受け取ったあと切羽せっぱつまった声で話した。


「もしもし代わりました…今治警察署ですね…はい…祐希ゆうきさんは、うちのお屋敷のお嫁さんの弟ですが…市民の森の大蓮池はすいけでおぼれていた…もしもし!!」


警察署の生活安全課あんぽかの職員からことの次第を聞いた志桜里しおりは、食材をセルフレジに放置した状態で店の外へ飛び出した。


昼過ぎに市民の森の広場でちいちゃい女の子にしつように声をかけていた男が止めに入った男性から暴行を受けた末に大蓮池はすいけに転落しておぼれた…


おぼれた男は、それから40分後に助け出された…


男は、ブザマな姿で警察署に保護された…


志桜里しおりは、イオンスタイルからタクシーに乗って今治市中心部にある警察署へ向かった。


その頃、セルフレジの付近では深刻なもめごとが発生した。


志桜里しおりがセルフレジに食材をたくさんほかした状態で店から出ていった…


周辺の客たちは、ものすごく激怒していた…


セルフレジへ食材をほかした客はどこへ行った!!


店員さんたちは、お客さまたちのクレーム対応にクリョしていた。


時は、夜7時40分頃であった。


またところ変わって、今治市宮下町しないみやしたちょうにある特大豪邸にて…


特大豪邸ごうていは、志桜里しおりのやとい主の神谷こうのたにトメ(96歳)の家である。


この家で暮らしている家族は、トメと息子・昭久あきひさ(70歳・重役職)と嫁・かおる(69歳・パート主婦)と孫・あつこ(長女・32歳)とてつや(長男・30歳)の5人家族とかおるのオイ・五名竜史ごみょうたつし(35歳)と住み込みの家政婦おてつだいさん志桜里しおりが暮らしていた。


祐希ゆうきは、かおるの実の弟であるが、家でイソウロウしていた。


この時間、家にいるのはトメと祐希ゆうき志桜里しおりだけであった。


毛布にくるまっている祐希ゆうきは、弱々しい声で『寒いよ〜凍えるよ〜』と訴えていた。


トメは、柱についている天気予報時計をみつめながらイライラしていた。


志桜里しおりは、ひどくおたついていた。


この時、昭久あきひさとかおるとあつことてつやと竜史たつしはまだ帰宅していなかった。


こんな非常時に、なんしよんかしら…


トメは、イライラしながら昭久あきひさたちの帰りを待っていた。


祐希ゆうきは、この日の日中市民の森にある大蓮池はすいけに落ちておぼれた…


しかし、祐希ゆうきには前科があった。


8年前の2010年の4月頃、祐希ゆうきは市民の森の広場のベンチでひとりで座っていた4歳の女の子に声をかけたあと無理やり連れ出した事件を犯した…


事件発生から48時間後に、玉川町竜岡たまがわちょうりゅうおかのダム湖の近くにある公園で保護された。


祐希ゆうきは、松山市中心部にあるパチンコ店で刑事たちに発見されたあと誘拐罪で逮捕された。


それから数ヶ月後に行われた裁判員裁判さいばんの最終弁論で、祐希ゆうきは裁判長に対してメソメソ泣きながら『ケームショはイヤだ!!もうちいちゃい子に近づきません…こらえてください…』と訴えた。


判決は、執行猶予9年の有罪判決を受けた。


祐希ゆうきは、シャクホウされたあと昭久あきひさたちのもとへ移った…


しかし、執行猶予期間中にまた同じあやまちを犯した…


この時、家族は限度を大きく超えていた…


これ以上、祐希ゆうきを家に置いておくわけにはいかない…


ケームショへ行ってもらうより他にはない…


昭久あきひさたちは、口々に祐希ゆうきに対する攻撃を強めた。


家族の悲劇は、ここより始まる。

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