ひきこもりだが学校に通っている
@johnamatsu
俺はひきこもりだが学校に通っている
「朝よー!そろそろ学校に行く準備しなさーい!」
月曜日の朝。俺、入江 玄人(イリエ ハルト)は心地よい夢の世界から母のニワトリかと言わんばかりの大きな声に我慢ができず、しぶしぶ夢の世界から戻ってきた。
「母さんおはよう。今何時?」
「8時25分よ」と母が答えた。
重たいまぶたをこすりながら母に不機嫌な声で時間を訪ねたところ母がため息をつきながら答えた。
ちなみに学校のホームルームは8時30分からである。
普通なら仮病を使うか遅刻の言い訳を考えるシチュエーションである。
しかし、俺の場合はちょっと事情が違う。
「あと5分か・・・なんとか間に合うかな?」
俺は即座に布団から身体を起こしリビングに向かい、テーブルにあった食パンを頬張る。
「はるくん、今日はお昼何がいい?」と母が聞いてきたので、
「うーん、それじゃあ、カ◯リーメイトで」
と俺は食パンを食べながら気だるそうに答える。
「またそんなこと言う~。そんなんじゃ身体が持たないわよ!」
「大丈夫、カラダは横になっているだけだから体力は減らねーよ」
呆れ顔の母にそう伝えると、俺は頬張っていた食パンを牛乳で流し込み、小走りで自室に戻り布団にダイブする。
そして体制をうつ伏せから仰向けに変え、いつものように枕の横にあるヘッドギアを装着し電源をいれて一言。
「国立仮想電子高等学校へリンク」
俺がそうつぶやくと真っ暗だった目の前の景色が真っ白になり、全身の感覚がなくなった。
そして次の瞬間には教室の入り口に立っていた。
俺は自席に座り、机に表示されている出席ボタンに触れる。
すると「8:29 出席を確認しました」のダイアログが目の前に出現した。
ふう、なんとか間に合ったみたいだな・・・。
俺が出席するほぼ同タイミングで教壇から突然柱上の白い光が出現し、中から女性が出現した。
女性はスラッとした長身で髪をポニーテールでしばっている。
服装は軍服姿でメガネをかけており、メガネ越しに見える鋭い目からは不正は絶対に許さないという意思の強さが滲みでている。この明らかに厳しそうな女性は我がクラスの担任「東堂キリカ(トウドウキリカ)」である。クラスのみんなはその風貌や雰囲気から裏では「キリカ大佐」と呼んでいる。
そのキリカ大佐は片手でメガネをくいっと上にあげて一言。
「ひきこもりの諸君、ホームルームを始める」
そう、ここはひきこもりの生徒が集まる、仮想空間上にある学校
「国立仮想電子高等学校」なのである。
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