第6話 婚約破棄パーティーの幕開け。
年度末のパーティー。
私はウィルと共に会場に入場しました。
今日恐ろしい行事が行われる予定ですが、不覚にもいつもと少し違うスタイルのウィルに、トキメきました。
そして、絶対にウィルと結婚してみせますわ。
と、決意を新たに致しました。
皇子殿下が男爵令嬢をエスコートし会場に入場し、会場が騒めき立ちました。その後、王族用の高台に上がり高々と宣言を始めました。
こうして恐ろしい断罪が、幕を開けたのです。
「フィルミーナ・デル・アックンヤークン公爵令嬢。嫉妬に狂いサラ嬢を虐めるような、性根の腐った貴様との婚約を、破棄することをここに宣言する。」
会場がざわめく。
断罪する殿下の腕には、怯えた男爵令嬢が、巻き付いていた。
「そんな!何かの間違いです!虐めなんて、そのようなこと一切行っておりませんわ!」
「言い逃れするのか?見苦しい。ここに貴様にされた行為をまとめたリストがある。ウィリアム読み上げろ。」
「畏まりました。」
ウィルがリストを読み上げる。
リストにはこれらの内容が、
日付け付きで記されておりました。
・マナーができていないことを指摘された
・バケツの水を頭から浴びせられた
・呼び出されて悪口を言われた
・ハサミで制服をボロボロにされた
・ゴロツキ【暴漢】に襲わされた
・階段から突き落とされた
その他にも、お茶会に誘われなかったや、筆記用具を踏まれた等、些細な証拠の出ない物まで、たくさんありました。
「これらには全て目撃者がおり、言い逃れは出来ないぞ!衛兵!犯罪者を引っ捕えろ!」
「そ、そんな私はやっておりませんわ!」
「では、そなたの無実を証明する者を、連れて来てもらおうか?こちらには証人も揃っているのだぞ!」
「そ、それは…」
言い淀むフィルミーナ嬢を、衛兵が捕らえ、連れて行こうとしました。
そこで私は初めて声を上げました。
「お待ちくださいませ殿下。」
と、努めておっとりした口調で声をかけます。
「…貴様は、アメリー・ニモ・ワルデス公爵令嬢か。庇い立てするなら、そなたも容赦せぬぞ。」
「そのようなこと、私がするはず、ありませんわ。私にとっては、願ったり叶ったりな状況なんですもの。」
と、言ってクスリと微笑む。
すると、私の派閥のお友達たちがクスクスと笑いたて、嬉しそうに、私を応援しておりました。
「ですが、私、無知なので、いくつかお教え頂けないでしょうか?」
「…何だと言うのだ。しかしここは、事実を明らかにするために、なんでも答えてやろう。これは公明正大な断罪なのだからな。」
殿下はフィルミーナ嬢と私が、敵対する派閥だと気が付き、さらにフィルミーナ嬢を貶められると見て、乗ってきましたの。本当にゲスですわぁ。
「では、サラ様と殿下に3つの簡単な質問をさせてくださいませ。私、知りたいのですわぁ〜。お優しいフィルミーナ嬢が、どんな虐めをしたのかを。」
クスクスと周囲から笑いが溢れる
「あぁ良いだろう。」
と、殿下からの同意を頂きました。
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