悪党の食卓。 --王妃の実家は、たぶん黒幕説。--

マイネ

第1話 プロローグ



 どこかの王国のお話。







 王国には王様と王妃様がいた。



 2人は皆から祝福されて結ばれた。



 けれど、彼等はなかなか子宝に恵まれなかった。



 普通の民や、一般的な貴族であれば、さほど問題にはならない。



 けれど、残念ながら彼等は王族であった。




 いつぞや彼等を祝福していた民や貴族は、くるりと手のひらを翻し、責め立てた。




 国の未来を担う次世代を、誰もが望んでいたからだ。




 誰からも責められて、王妃様は疲れていた。




 王妃様が悪い事は1つもないが、いつの時代も、どこの国でも、こういう類は女のせいにされる。




 そんな王妃を慮ったのか、家臣から唆されたのかは知らないが、王様は側妃様を迎える事にした。




 側妃様はしばらくすると子宝に恵まれた。




 しかし、それからまた少し後に、王妃様も待望の子宝に恵まれた。




 そして、側妃様も王妃様も男の子を産み落とした。





 2人の王子の誕生に、王国中が歓喜した。



 そして、同時に困惑した。



 どちらの王子が次の王になるのかと。







 即妃様が先で、王妃様が後だった。




 2人の王子が産まれたのは、2ヶ月しか違わなかった。




 けれど、その2ヶ月の間に、暦は1年の区切りを跨いでいた。



 だから、2人の間には、実際は2ヶ月なのに、1歳の歳の差が生まれていた。




 皆が口に出さずとも、次の王はどちらになるのか、注目していた。




 そして、どちらの王子についた方が良いのかと、情勢を見定めていた。




 水面下で争いは続いていたが、月日は流れた。



 ついに来年、先に生まれた王子が、先に成人する。





 そんな時代のお話。

 



 


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