第123話:だけどネックは歳の差。
人間って我慢の限界が来たら、神様かキューピットが背中を押してくれるもんだ。
昼休み僕は彼女の会社に電話をかけていた。
呼び出し音が胸のドキドキを誘う。
でも電話に出てくれたのは幸いにも彼女だった。
だから僕は夏祭り「夜市」に行きませんかって誘った・・・駄目元で・・・。
答えは意外にも・・・「はい、いいですよ」だった。
あまりにあっさりな答えだったから僕は言葉に詰まった。
なんとか焦りながら約束の時間の打ち合わせをして電話を切った。
僕はガッツポーズをして馬鹿みたい笑が止まらなかった。
デートの誘いに成功・・・だけど案外あっさり決まったことが不思議で
しょうがなかった。
まあでもいい・・・彼女との初デート。
待ち合わせ場所で彼女が来るのを待っていたら、なんと彼女は
初デートで浴衣姿だった・・・なんちゅうサプライズ。
浴衣姿の彼女はめちゃ初々しかった・・・まあそこは女子高生だし・・・。
夜市では四六時中盛り上がって年の差にも関わらず僕たちは意気投合した。
そう年の差にも関わらずだ・・・僕と彼女はめちゃ歳が離れてる。
僕は社会に出て15年・・・歳はすでに30歳・・・彼女は社会にすら出て
いないまだおぼこい17歳。
社会の理不尽や汚さに揉まれ、心も汚れて挫折も味わって、もう夢も
無くしかけて、ただ悶々と日々を生きる僕に・・・未来を照らす光明・・・。
でも社会の怖ささえ知らない高校生の彼女とこれからうまくやっていけるのか?
そのギャップをどうやって埋めればいい。
そんな思いをよそに彼女は次のデートの誘いもオッケーしてくれた。
彼女を見送って、ひとり車の中で僕の心はこれ以上ないくらい晴れ渡っていた。
この時、僕は考えすぎてたみたいだ・・・彼女は歳の差なんて関係なくて
いっしょにいて楽しい人ならそれでよかったみたい。
今が楽しければそれでいい。
そのへんが将来に不安を抱く30男と、社会に責任がない17歳の女子高生との
違い、差なんだろう。
僕と彼女の恋の物語はこうして始まったのです。
つづく。
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