第34話:最後まで聞いてくれ。

また新しい小説投稿したよ、って嫁さんに言うと


「すご〜い・・・どんな脳みそしてるの?」

「もう天才」


って持ち上げてくれる。

しょうもないことでも嫁さんはいつでも僕を持ち上げてくれる。

基本的に絶対、旦那を下げるようなことは言わない。

言葉一つで喧嘩になったりするからね。


スケベ〜とかエッチ〜とか変態〜とかはよく言われるけど。


で、嫁さんは僕がカクヨムに投稿してる小説について、どんな話なのか

教えてって聞きたがる。


だから


「パソコンで読めば?」


って言うんだけど、嫁さんはディスプレイの文字は読みたくないみたい。


嫁さんは学生時代から、小説「文章」は好んでは読まない。

絵本とか写真とか挿絵とかだけ見て終わり。

漫画なら大丈夫みたいですけど〜、つうか漫画でもセリフは読まない。

とにかく文字は読まない。

電化製品とかのトリセツなんて、全部僕の方に回ってくる。


で、読むのめんどいから、説明してって言われる。


だから僕は投稿してる作品の中から、ちゃんと説明できそうな小説を

嫁さんに話して聞かせる。


僕があまりに夢中で話すから、それを見ていた嫁さんが、必死で

しゃべってる僕を見て


「なんか、しんどそうだから、もういい」


って言う。


待て待て・・・途中まで説明させといて、ここでやめろってのは

ないだろ?


俺の話を聞け〜♪、五分だけでもいい〜♪


だから最後まで話させてくれ〜。

中途半端で終わらせないでくれ〜。

今やめたら、さっきまでしゃべったこと全部無駄になっちゃうだろ。


「お願い、最後までちゃんと聞いて?」


って言うと、


「聞いてると私もだんだん疲れてきた・・・だから、また今度教えて・・・」


今まで何度、そのパターンでフェードアウトしたんだよ。

最後まで聞いてくれた試しないじゃないか。


結局のところ、嫁さんは一生僕の小説を読むことはないんだろうな。

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