宇宙人と出会って(第四章)
レイトは学校の裏山に到着して山の中にある大きな橋の上にいた。
「俺はもう…何をやってもダメダメだ…。それならもう…」
そうつぶやくとレイトは橋の手すりに乗っかった。飛び降りようとしているのだ。
「もう…俺なんか…」
次の瞬間、空から青く光る何かが山の中へと落ちていった。
「な、なんだ!今のは?」
驚いたレイトは手すりから降りると何かが落ちた方向へと駆け出していった。レイトは山の奥の方をたった一人で進んでいく。やがて白い煙と青い光が見えた。
「あれだな…」
そうつぶやくとレイトは少しずつ光の方へと近づいて行った。そこには円盤が不時着していた。その近くには猿のような宇宙人の姿もある。
「嘘だろ!」
その直後に倒れていた宇宙人も目を覚ました。
猿のような宇宙人はレイトを見つめた。
「なんだよ…。俺に何の用だ?」
レイトの質問に答えず、宇宙人はレイトを見つめていた。しばらく見つめてから宇宙人はあおむけに倒れこんだ。
「おい、大丈夫か!しっかりしろ!」
レイトはその宇宙人に駆け寄った。その宇宙人は苦しそうな声を上げた。
「み…ず…」
それを聞いたレイトは近くの川に連れていき、その水をペットボトルにくんで宇宙人に飲ませた。それと同時に宇宙人が目を覚ました。宇宙人はレイトにお礼を言った。
「俺を助けてくれてどうもありがとう。おかげで俺の目的を達成に一歩近づけそうだよ。だが、安心しろ。お前は命の恩人だから命だけは助けてやる!」
「悪いけど、お前…急に何を言っているんだよ…?別に俺の命はどうでもいいけど…」
レイトは宇宙人の言っていることの意味を理解することができない。猿のような宇宙人は全身から白い光を放った。それにレイトは両手で伏せた。やがて光が消えた。レイトが伏せるのをやめるとそこには黒いスーツ姿の男が立っていた。どうやら宇宙人が人間に擬態したらしい。スーツ姿の男性に擬態した宇宙人が説明を始めた。
「俺の名はモンカー。銀河系のはずれにある惑星クモンからこの地球を侵略するためにやってきた。この地球を第二の故郷にすると言った方が正しいかもしれないが…まあいい。俺の目的を達成することはできなくもないが、宇宙船が壊れてしまったから仲間との通信はできない。だが、地球人は知能が低いだけでなく力も弱いということが分かったから俺一人でも地球人を滅亡に追い込むことは簡単なことだろうな。」
それを聞いたレイトは無表情だった。モンカーは声をかけた。
「なんだ、お前。驚かないのか?」
「お前、俺を殺さなくて本当にいいのか?俺は殺してほしいと思ったけど…」
「そうか…なら容赦はしないぞと言いたいとことだが、お前は一応俺を助けてくれたからやっぱりやめようかなと思うが…。まあ、とにかくお前は保留だ。だが、俺の計画の邪魔をするようなら容赦はしないからそれだけは覚えておけよ!じゃあな。」
そう言うと人間に擬態したモンカーはどこかへと歩き去っていった。それを見送ったレイトはこれからどうしようか迷った。
「もうしばらく生きてみるか…。けど、家に帰るのはやめておこう。」
そうつぶやくとレイトは山を下りていった。
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