ある朝、砂時計をひっくり返したら本当に時が戻りました

葵羽

第1話 2人の出会い

「あなたのことを同僚以上としてみることはできないです。ごめんなさい」




 都内にある大手企業の入社式。200人以上の新入社員が式に臨む中で、初出社という大事な日なのに前日は全然眠りにつけなかった俺、中林健なかばやしたけるは少しウトウトしながら式に参加していた。

 式が終わり、俺たち新入社員はそれぞれの部署に配属された。


 すると、健が配属された部署のメンバーにひと際美貌を放つ女性の姿が。

 幼いころから多くの女性を好きになってきた俺は、その女性に一目惚れ。恥ずかしながら、恐るおそる声をかけてみることにした。


「あのー、、、」

「はい、何でしょう?」


「俺の名前は、、、中林健と言います。入社式の時にステキだなと思って…。良かったらあなたのお名前聞いてもいいですか?」


 すると、彼女は長い髪をかきあげながら答えてくれた。


「私は平川沙理奈ひらかわさりなと言います。よろしくお願いします」

「沙理奈さん!同じ部署ですし、こちらこそよろしくおねがいします!」




 沙理奈は幼いころからいつ見ても髪が長くて、何かあったらすぐ髪をかきあげる女の子だった。学校の休み時間もずっと髪をセットしていて、周りの友達からは「おあげちゃん」と呼ばれていた。

 ショートカットよりはロングの女性が好きな健はそんな、沙理奈の髪をかきあげる仕草に一目惚れをしてしまったのだった。


 それからというもの、同じ部署だから当たり前なのだが、2人は会社に出社すると毎日のように顔を合わせるようになった。

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