ビタースイートな私のアメリカ滞在記
@Altachan
第1話 6個目のSNS
みなさん、ごきげんよう。
私はいわゆる「お嬢様学校」に通っていたので、この挨拶も全然恥ずかしくない。
むしろ、そんな自分のちょっとお上品な一面を伝えられて嬉しい。
私はいま、アメリカのカリフォルニアに住んでいる。
去年の夏頃から、夫(通称:ボブ)の夢に近づくために神奈川からはるばる夫婦2人で引っ越してきた。
そう、ボブの夢に近づくために渡米してきたので、私がアメリカに来たかったわけではないし、アメリカに住んで約半年になろうとする今でも、私がアメリカに居なければいけない理由はほとんど無い。
もともと人生のどこかで海外暮らししてみたいと思っていたし、カリフォルニアは過去留学に来ていた土地でもあって大好きだし、夫婦で海外移住なんてなんかかっこよくない?楽しいかも!なんて感じでアメリカ行きを決めた。
(もちろんそう決めるまでも紆余曲折とボブとの衝突もあったので、それはまたおいおいじっくりゆっくり語らせて頂くとして。)
しかし、わかっていた。
わかっていたけど、異国の地で暮らすというのは甘くない。苦すぎる。激渋。
大事な実家の家族、10代の頃からの大笑い出来る友人、自由自在に操れる日本語、やりがいを感じていたフルタイムの仕事とキャリア、1人でも暮らしていけるほどの収入。
これを全部一気に日本に置いてきた私って、もう、もはや別人格。
英語が出来ないから何をするにも一苦労、夫に手伝ってもらわないと何にも出来ない、周りは全員外国人。
「第二の人生スタート!☆」なんてポジティブさは全くなくて
自分が自分じゃないような、自分がどんどん無力になっていくような、そんな感覚を覚えた。
その虚しさはじっとしているとどんどん自分にのしかかってくるので、とにかく動くしかなかった。
「せっかくアメリカにいるんだから何かしなきゃ!」
「今だからこそ出来ることしないと!」
「何かこの暮らしを形に残したい!」
そう思って現代っ子らしくSNSを片っ端から開設した。
全部のアカウントに狂ったように「アメリカ在住」と書いた。まるで「アメリカ在住」がひとつの輝かしいステータスであるかのように。
まずは、アメリカ暮らしの同じ境遇の人を探して悩みを分かち合おう!と意気込みTwitterを開設。(SNS1つめ)
次に、アメリカの風景や買ったものを紹介しよう!と意気込みインスタグラムを開設。(SNS2つめ)
その次はYouTube。さすがに恥ずかしいので顔出しはしないけど、アメリカのリアルな生活を伝えようと思った。(SNS3つめ)
さて、一旦有名どころを3つ作ったけど、どれもバズるどころかYouTubeなんて動画5個あげてもチャンネル登録者は5人。
「あれ?アメリカ生活って映えるよね?」
焦りながら、Z世代に人気のTikTokも開設。こちらは普段見ることもなかったので、動画の作り方から学んでみた。(SNS4つめ)
方向性を変えてみようと、趣味のTwitterアカウントも開設。(SNS5つめ)
ここまで来てもどのアカウントもうんともすんとも言わない。
ただでさえ、異国の地で外国人としてひっそりと静かに日陰に暮らしているのに、SNSでさえも日陰すぎる。全く日が当たらない。激渋。(本日二度目)
「はてどうしよう。そろそろ他人からの反応がないと私の日本で蓄えた承認欲求が底をつく。」
そこで思いついたのが、普段書いていた日記を世間に公開すること。
もともと書くことが大好きなので、チャンネル登録者が10日に1人ペースでしか増えないYouTubeより幾分兆しがあるかもしれないという生ぬるい期待を抱いて。
そんなこんなで晴れて本日渡米後6つめになるSNSアカウント(これはSNSとは少し違うかもしれないけど)がここに誕生した。
私の激渋アメリカ生活、どうかみなさん私に甘さをください。
今日の一言:お昼に食べたピザで見事に胃もたれ。夕ご飯は冷たいざるうどんにしよう。
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