復讐とかよくわからないけど師匠が黒魔術師なので俺も師匠を追いかけようと思います

すいか

第1話 プロローグ

幼い頃、師匠がよく言っていた言葉がある

「黒魔術なんてクソッタレだ。そんな魔術を使う私も、そんな私から学ぶお前もクソッタレだ」

酷いいいようだが師匠が黒魔術師として歩んできた人生を後悔していたところは俺も見た事がない

「クソッタレってのは人として底辺にいるやつのことを言うんだ。そういう人は表立って世界を救ったりなんかできない」

幼い俺がこんな口の悪い人のもとで育ってよくグレなかったものだ

「でも、ご立派な勇者様にも底辺で生きる私達も守りたいものがあるだろ?お前はそれを忘れるな、これは私が唯一守り抜いてきた“綺麗事”だから」

そう言って俺の髪をぐしゃぐしゃと撫でて笑ってみせた

その笑顔から何かを感じた俺は幼いながらも問いかける

「なぁ師匠。師匠の守りたいものってなんなんだ?」

幼いからこそ純粋無垢な質問。人の心に土足で踏み入るような失礼な質問。

何度もその話を聞いていたが大切なものの正体なんて語らなかった

だから、1度だけそんな質問をしたのだ。

師匠は頭を撫でていた手を止め俺を見つめて

「この平和な世界…なんておおそれたものじゃないけど。そうだな…今こうやってお前と過ごす時間は“ 今の私”の大切なものだよ」

そういい俺の頭から手をどけた

その日からだっただろうか、師匠が俺に教えてくれる魔術が「攻撃魔術」から「命を狩る魔術」になったのは。

だからだろうか…師匠が最強の魔女と謳われた理由をよく理解したのは。


俺は、最強の魔女ことエティカ・フロリアの唯一の弟子だったのだ



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