第5話 初エステ

 麗奈からの12万円コース入りましたの報告を受けて、いつ誘われるかなと思ったら。

 麗奈は行動派らしく自身が契約した際に空きも確認してくれたところ、二日後に空きがあると言われたそうで。

 どっちか予定があうほうどう? ってことだったんだけど。

 2日後という急なこともあって、白雪ちゃんはバイトのシフトの都合がつかず。

 私はちょうどフリーだったこともあり、とんとんと500円エステデビューすることになった。

 500円エステデビューの3日後にちょうど古屋さんとエステのモニターに行くつもりだったから。

 古屋さんと一緒に行くエステが初になるとおもいきや、まさか500円のエステに先に行くことになるとはおもわなかった。




 麗奈たちには、古屋さんとホテルのエステのモニターをうけたことは内緒にしていたけれど。

 古屋さんには、すでに500円で受けれるエステがあるんだってって話はしてあったから、古屋さんと行くよりも先に私エステデビューしちゃいますと報告をした。




 古屋さんからは、

『500円エステ私の大学の友達もバイト先の子に誘われていったらしくて、個室でカウンセリングを受けて、緊張したっていってた。石井さん緊張しそう~』

 と茶化す返事がきた。

『私実はすごく緊張してる。誘われた子はいつメンでだからその子が大丈夫っていうなら500円なんだろうし、勧誘もしつこくないんだろうけど。やっぱりちょっとドキドキするよ』

『どうだったか教えてね!』

『もち!』



 早くも予約当日をむかえドキドキで人生初のエステへと出陣した。

 一応ムダ毛処理したけれど、そんだけでよかったのかな?

 肌荒れてるとか思われたって、いやいや、そういうのよくするために行くところなんだから気にしないこと。



 そしてエステもドキドキだけど、何気に麗奈と二人きりで会うのも初めてってのも緊張する。

 複数人で遊ぶけど、サシでは遊ばない子? っていない。

 私と麗奈の関係はグループではよく遊ぶけれど、サシで遊ぶことがない子。

 エステがお互い終わった後は、そのままご飯でも食べようよといわれているけど、それもちょっと何を話そうか昨日あれこれ考えてた。



 駅で待ち合わせして、麗奈の案内で歩くこと5分。

 真っ白いビルの1Fに噂の500円エステはあった。


 ドアの向こうは、6畳ほどの待合スペースのようで。壁際に椅子が設置されてていて、もう一組私たちと同い年くらいの若い子が私と同じで友達から紹介してもらったようで、二人組でうち一人はちょっと緊張しているようだった。


 正面には病院みたく白の受付カウンターがあって、若くて綺麗そうなマスクをしたお姉さんが一人座っていて。

 麗奈と一緒に受付にいって、問診票なるものをわたされて、待合の椅子に腰かけてそれを記入する。


 先に来ていた子たちは、問診票を書き終えたのか、カウンセリングルームに案内されたようだった。

 住所、名前、生年月日、電話番号、肌質にチェックをいれて、アレルギーの有無と、気になるところを書く欄があるものだった。

「本格的だね」

 思わずその問診票を書きながら、麗奈に話しかけてしまう。

「私も最初これみて、緊張した」

 麗奈がクスっと笑う。



 そのタイミングで、先に施術をうけて説明をうけていた子たちが出てきた。

 私たちと同じ、若い同世代くらいの女の子二人組。

 受け付けで本当に500円を支払って、施術をしてくれただろうお姉さんに見守られて帰っていった。

 すると、名前を呼ばれた。


「石井様、立花様お待たせいたしました」

 私といよいよ麗奈の番だ。

「カウンセリングルームに案内いたします」

 そういわれて、私たちは奥の間仕切りされたカウンセリングルームに案内された。


 癒し系の音楽が流れていて、いかにも雰囲気がある。

 二人とも椅子に座るように促されて、腰かけるとお姉さんが挨拶してきた。



「今回石井様の担当をすることになります、峰田です。よろしくお願いします。立花さまこの度はご友人を紹介していただきありがとうございます。お二人の施術は石井様のカウンセリングを終えた後になります。立花様の担当の佐藤は、カウンセリング終了後お迎えにくるのでご安心ください」

 そういって、ニコっと笑いかけられてしまう。

 ヤバい本格的だよ。

 様とかつけられてるもん。



「それでは初めに、年齢確認のとれる保険証や学生証をみせていただけますか?」

 そういうのいるんだ。

 私は慌てて鞄を漁り、もっていた学生証を手渡した。



 後はよく覚えてないけれど、記入した問診票を渡してアレルギーの確認後、パッチテストをしながら問診票に書かれていることを再度おねえさんから質問されて答える感じだった。

 15分ほどそんな感じで雑談して、パッチテストの結果をみてアレルギー反応とかおこっていなかったので、いよいよ麗奈と別れて案内された小さな個室へと入った。

 といっても、ここも完全な個室というわけではなく。

 壁で区切ってあるけれど、一部屋としてもともと作られてはいないような感じだった。




 部屋の中には何に使うかわからない器械がいくつか隅の方に置かれていた。

 こういうのをエステに使うのかな?

「それでは石井様、中央の施術台に横になってください」

 私が横になるとタオルケットを掛けられて、癒し系の音楽を掛けられ施術が始まった。



「まずはメイクを一度落とさせていただきますね」

 まずはメイク落とし。

 こんな風に横になって誰かに落としてもらうのは初めてだ。

 顔にスチームを当てながら雑談もしつつ、ゆっくりとメイクが落とされる。



 緊張していたけれど、おねえさんはすごく聞き上手だった。

「石井様は、立花様と同じ大学なんですか?」

「そうです」

「じゃぁ、お二人とも今は2年生なんですね」

「はいそうです」

「2年生なら、もうお酒も飲まれました? もう20歳になられたんですよね」

「もう二十歳です。お酒は誕生日に少し、弱い酎ハイ飲んでみました」


 そんな感じで、学祭の話しや。

 他にも大学生がいるらしく、学校の授業の先生の話なんかもでつつ和やかにエステは終了した。



「おつかれさまでした。後は一応形式的になんですけど。未来のシミができる場所の確認をしていただいて、こちらで販売している化粧品の説明とコース契約についての説明を10分ほど受けてもらったら、化粧室がございますので、そこで化粧直しをしていただいて終了となります」

「はい、わかりました」

 やはり、ちょっと説明は受けるんだと思ったけど。

 施術が終わった麗奈がいたことでホッとする。

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