可愛い幼馴染は俺のアレを握らないと安心して眠れないそうです……。~俺の〇〇〇は片想いの彼女にとって安眠グッズがわりだと!?~
かわいい妹は俺のアレを思い出して優しい気持ちになっているみたいです……。そのに
かわいい妹は俺のアレを思い出して優しい気持ちになっているみたいです……。そのに
……この森は大手ゼネコンが開発分譲した新興住宅地の一角に位置しており、
同じ敷地内に私たちの家もある。新興住宅地に建てられた私たちの家の周りはまだ自然が多く残っていた。宅地造成から外れていた場所なのもあったが土地の所有者との関係性が強いこの近辺ではそのような森林や山も多く点在するんだ。それは別に珍しいことではないと拓也お兄ちゃんは大人みたいな顔をして未祐に教えてくれた。
家の裏山は私たちにとって手つかずの秘密基地みたいな物だったな……。
その感想は全部、拓也お兄ちゃんからの受け売りなんだけど。
私。
一つ年上の
未祐と同じ四年生のクラスのませた女の子の友達から下校時に、『拓也お兄ちゃんと真奈美ちゃんは付き合ってるの?』 って聞かれるほどの仲の良さだ。
……みんな私の存在を忘れてない!?
私も二人の隣にいつも一緒にいるのに。
『未祐ちゃんは何て言うかな、ちょっと存在感が薄いんだよ。真奈美ちゃんの影みたい……』
小学生は平気で残酷なことを言う。
やっぱり真奈美ちゃんは拓也お兄ちゃんにお似合いなんだ。私の出る幕なんかないよ。私はこのまま影のままでいい……!!
いつも私は彼女を目で追っていた。それは憧憬の視線だったり、ときには妬みの視線にも変貌することもあった。いろいろな気持ちがない交ぜな感情。
幼い私には抱え込めなかった悩みなのかもしれない。
彼女の髪型だけでなく、当時女子小学生の間で流行した可愛いお洋服まで真似っこしてしまった。真奈美ちゃんの着ていたピンクのクマ、ジェイミーちゃんのキャラクター入りの可愛いワンピース。未祐も同じ物を母親にねだって買って貰ったんだ。
お母さんに言われた言葉を懐かしく思い出す……。
『珍しく未祐がお母さんにおねだりをするなんて何年ぶりなの……。いったいどういう風の吹きまわしなのかしら!? でもいいわ、あなたは女の子のくせにお洋服選びにあまり積極的じゃないから私は心配していたのよ』
お母さんが驚くのも無理はない。私は昔からあまりわがままを言わない子供だった。ましてや欲しい物を親にねだるなんて言語道断とまで考えていたふしがある。
母一人子一人の暮らしは裕福ではなかったが、母が仕事の掛け持ちをしてくれたおかげもあり、転校続きなのを除けば何一不自由なことはなかったんだ。
けれども自分の中で妙な制限を設けてしまったのはどこか母に対する負い目だったのだろう。いま思えば本当に笑えるが、下手な主婦顔負けに家計について口出しをしたりしていたんだ……。
でも未祐ばかりが真奈美ちゃんの真似っこをしていたんじゃない。
彼女の好みも驚くほど未祐に似ていたから……。
『本当に私と未祐ちゃんは実の姉妹みたいに好きな物が似ているね!! 真奈美本当に嬉しいんだ、だって私は一人っ子だったから、こんな可愛い妹がずっと欲しかったの……』
真奈美ちゃんの嬉しそうな顔を今でも鮮明に思い浮かべることが出来る。
そのまま幸せな日々が続いた、拓也お兄ちゃんの未祐への意地悪も減って、真奈美ちゃんに対する態度と同じくらい優しくなったのもこのころだ。だけど欲張りな私が顔を出してしまうんだ……。
『未祐、お前の着ているクマのワンピース、とっても良く似合うな!! 真奈美にも言ったけど本当に姉妹みたいだよな……』
駄目だ……。拓也お兄ちゃんの私を誉める言葉が飛び上がるほど嬉しい癖に、真奈美ちゃんの話題が一緒に出ると気持ちがざわめいてしまうのは、……なぜなの!?
この後の言葉を口にしちゃ駄目なのに!!
口にした瞬間に拓也お兄ちゃんの言葉の魔法が解けてしまうから……。
『すべて均等に優しい態度って時にはすごく傷付くんだよ。拓也お兄ちゃん……』
お兄ちゃんに八つ当たりしても仕方のないことは充分に分かっている。
でも幼い私は、大好きな拓也お兄ちゃんをわがままで困らせてしまった。
『ごめんな未祐、そんな風にお前が思っていたなんて俺はまったく気がつかなかった……」
拓也お兄ちゃんに謝れれば謝られるほど、私の心は深い河に沈んでしまうようだった。
双子みたいに仲の良い真奈美ちゃん。本当の姉妹みたいだって近所でも評判だった……。
子供の頃から好みもいつも一緒。お洋服も一緒、大好きなお人形も一緒。
好きになる物全てが一緒。なぜなんだろう?
きっと私たちは容姿の見た目ではなく中身が良く似ているんじゃないのかな……。
ねえ、真奈美ちゃん。
どうして好きになる人も私たち一緒なんだろう。
だけど今の三人の関係性を壊したくない。私の拓也お兄ちゃんへの気持ちを知られて、真奈美ちゃんの屈託のない笑顔を曇らせたくなかった。
『……私がこの想いを封印してしまえば、明日から二人の可愛い妹として振舞えばいいんだ』
私は決心した。
『拓也お兄ちゃん、未祐はあなたのことが大好きだったよ』
誰にも言えない告白の言葉をそっと呟いた後、
拓也お兄ちゃんへの気持ちを封印した……。
次回に続く。
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