64
※ウェンティの探していたものがネックレス・イヤリングと表記揺れしていますが、ネックレスで統一いたします。
「ウェンティさんはどちらへ……先ほどの様子はまるでわたくしたちの事など見えていないようでした……」
「思えば……ウェンティが見たという「夢」がおかしかった。記憶喪失とはいえ彼女は自身の実力では危険だという事が判らないほど常識がなかったとは思えない。だが夢という曖昧なもので見たネックレスを自らの危険顧みず探そうとしていた。俺達が力を貸さなければどうなっていたやら……」
「確かに……」ネメシスが警戒用の魔法を唱えつつ俺の話を聞いてくれる。
「この迷宮も、何なんだ……入口は隠され、ウェンティが居なければ入場すら出来なかった。迷宮自体が招き入れているというのにモンスターは彼女にも襲い掛かってきたし、1階の仕掛けは俺のような技能持ちじゃなければ突破に最低でも4人必要だった。それでいて2階からこの階の前・5階までは……1階の仕掛けが特異に思うくらいありふれた迷宮のイメージそのままだった。無論ネメシス、君が言ったように油断を誘う為だったかもしれぬが」
「ですわね……迷宮としては本当にオードソックスな……わたくしたちの様な銀級冒険者が居なくとも、ウェンティさんと同じ位の冒険者が4人以上いれば少し時間はかかりますがこの前の階までは成長しつつ突破出来ると思いますわ」
「成長……ウェンティは本当呑み込みが早かったな。若いというのもあるが前の階のボスなど、居て欲しい位置に的確に移動して体力回復や、相手への牽制・奇跡による弱体化をしていた」
「ええ、あの動きは……元々あの程度の動きは出来ていたのかもしれません。そう考えるとこの迷宮の1~5階は「リハビリ」だったのかも……」
「まぁ……いくら考えてもそもそも誰が、一体何の為にこの様な事をさせているのかが謎だな……」
……そう、まずは、ウェンティを探し出さなければこの謎は解決しないだろう……俺達は迷宮自体が敵となっている状況に苦労しつつも、この階の探索を終え、大きな口の様な形をした「扉」の元へ辿り着いた。
「……本当にこの階は、悪趣味だな……さんざ血と不快臭で嘔吐を含む嫌な思いをさせておいて、最後はこの口に食べられろというのか?……騎士めと致しましては御姫様を危険な目には合わせたくないのだが……」
「わたくしは戦うプリンセス・姫騎士……護っていただきたいのも山々ですが、むしろわたくしが騎士様を護る盾となりますわ♪」
「俺は君よりもずっと弱い情けない騎士かもしれんが、この命を懸けて御護りしますよ♪ そして2人で……ウェンティ姫の元へと馳せ参じましょう!」
そういって俺は目の前の「扉」に向かい、魔力で強化された剣を構えると、思いっきり切りつけた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます