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「全く、おぬしは所構わず発情しおって……わしも少女体だったら危なかったわい」
気が付くといつの間にか風呂から出され、身体が拭かれ下着も着せられていた。これまたいつの間にか少女体に変わっているアルテミスが扇を仰ぎながら覗き込んでくる。膝枕をされているらしい。
「俺は一体……うっ、後ろから蛇の様なやあらかなものが巻き付いたと思ったら意識が……メデューサの視線で石にされていたのか?」
「……まだ記憶の混濁がみられるようじゃの?」
因みに俺が強制退場された後、アテナも風魔法の伝授をされ、更にアルテミスも少女体に移動した後、嫌々ながら適性を受けたらしい……モンスターに多い闇属性という事だった。
まあ白狼人族の基本属性という事で、ある程度は予測出来ていたらしい。アルテミスの今の憑依元の少女には魔法適性はなかったようだ。
「そういえば、少女に憑依した時危険な状態だったとはいえ死体に乗り移った訳じゃないのだろう?元の少女の意識とかはあるのか?」
「憑依した場合、身体的成長は止まるが元の人格が完全に失われる訳ではない。精神はわしの意識の中で休眠している。このままだと10数年かけてわしと緩やかに融合するがこの身体はまだ一年ほどだし、完全に融合するまでに別の身体が見つかれば分離するつもりじゃ。まぁそのような……都合のいい事例はまれにしかないがな」
「そうか……ちなみに他の3人は?」
「公女は小娘の風魔法のレッスンをしている。おぬしと違い初の魔法取得だしな、難儀しているみたいだが」
「……見に行ってみるか」
アルテミス(少女)と共に外に出てみるとアテナとネメシスがマンツーマンで魔法の練習をしている。
ちなみに別の場所ではヘレネ始め騎士団(因みに全員女性だった)が村の自警団……アテナと一緒に見張り台に立っていた門番の女性たちがメイン……に戦闘指導をしている所だった。
これもネメシス達の訪問理由の一つで、無論騎士団の様な本格的な訓練は出来んが、ごくまれに起こる災害……モンスターの異常発生(スタンビート)や盗賊団の襲撃から村を護る為の最低限の護身及び心構え等の伝授をしているらしい。
確かに国から1,2名の騎士を派遣した所で焼け石に水だし(騎士は貴族も多いらしいし不満が出るのも困る)、来るかどうか判らない脅威から冒険者をずっと雇うのも財政的に無理なのでいい方法かもな。
俺はアテナとネメシスの元に近付き声をかける。
「よ、精が出るな」
「あ、アヤカート」
「旦那様♪」
アテナはネメシスに指導されながら教わった呪文を特訓していた(ネメシスの不穏な呼称は無視する)。
「うーん、魔法を伝授して貰ったのは嬉しいけど、どうにも感覚が掴めないわね……ネメシスにも聞いたけどアヤカート、何かコツってあるの?」
「うーん……エルフと人間では感覚も違うだろうしな」
俺は転生者特権で本来ウィンド程度は無詠唱で出来てしまう。なので教えるには不向きだ。
「アテナ様にも魔力があり、森で説明した通り火や風の魔法の素質が無くても発現は出来る筈ですわ。定期的に伝授を繰り返す事で更に発現もしやすくなるでしょう」
「伝授って……またネメシスやヘレネさんと抱き合ったり、キスをするって事でしょ……わ、私にはその気はないからねっ!」
「え、でもアルテミス様とは毎晩の様に……」
「言っておくが、ワシは巻き込まれてるだけじゃからな!そもそもその気がないとかいいつつ最初は小娘の方から……このケダモノめ!」
お前ら、ここが屋外という事を忘れてやしませんかね?
そういえば最近ステータスはあまり詳しく確認してなかったな。とふと思い見てみた。そんなに変わってないHPやMPは省略。
アヤカート=オータス
年齢150歳
男
銀級狩人
LV17(35)
……
技能 剣術LV2 弓術LV4 風魔法LV3 精霊交渉LV2 事前予測LV2(緊急回避LV99) ※言語理解 ※言語筆読 性豪
魔法 ウィンドLV3 サイレントLV2 ウィンドウォールLV1 フライLV1 ファイアボールLV1 ファイアアローLV1
アルテミスを買った後のオーク討伐依頼くらいしか戦闘らしきものはしてないが、LVは上がっていた。まあ経験値が増えた、というより格の様なものらしいし、好戦的なモンスターを倒した事による周りの評価が上がった、と考える方がいいかもな。
技能も少し上がっているが……性豪っておまっ!!
アテナとアルテミスしか相手してないじゃないか!……まあ脱素人童貞をして半年ほど、ほぼほぼ毎日……だが、わ、若い時ってそういうもんじゃないっすかね?
最近アテナもアルテミスも俺の教える様々なプレイにはまってきてる気はしてたが……お、俺は純情なんだからねっ!
ポーン、ステータスウィンドウは頻繁に閲覧し状態を把握する事をお薦め致します。
女神アナウンスが久々に聞こえた。ネメシスを暗殺の魔の手から救って以来か。そういえば女神の声に似ているし、こちらを覗いてるとしか思えないから勝手に女神本人?と思ってるがその認識でいいんだよな?
ノーコメントです。
……そうやって律義に返す所でもうバレバレだが……まあいい、頻繁に見るようにするよ。
性豪の技能はこの世界基準よりも発展した性交を行う者に与えられます。この世界は淡白ですので、複数との性交、口淫、顔面及び乳房への射精等は技能に該当し
すいませんでしたあああああああああああああ!!と女神に食い気味に謝罪する。
……気を取り直して、伝授された魔法が追加されているな。そういえばこういう魔法の違いやLVってどう言う判断なんだ?威力や発動時間の違いだけなのか?
魔法の種類とLVですが、根源的に例えば風魔法はほとんどが同じものといえます。
ウィンド・ウィンドウォールは風の力で対象を動かす力です。
サイレントは風の膜により音を遮断する魔法です。
フライは自分の身体から風を噴出し飛行する魔法ですが、古のエルフの大賢者が行った飛行魔法はこれは重力魔法との組み合わせという事になります。重力魔法の習得が無ければ数m浮く程度が限界です。
LVはその魔法を使う事で出来る現象の威力や範囲の違いです。例としてウィンドLV3ですが向かってくる複数の屈強な人間を抑え、子供の様な軽いものなら吹き飛ばす事が出来る程度です。台風でいうと風速20~30メートルほどです。この世界の石積でない建物なら一部破壊出来ます。
判りやすく威力を説明してくれた。というかそこまでいくともう戦闘用としては充分な気がするな。半年前はそよ風程度だったのに……。
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