トロッコ問題(歴史用語)
砦二光
トロッコ問題(歴史用語)
私は技術科の4年生のアッケレラーティオだ。あるとき、倫理問題についての講義を受けた。そこで最初に教えられる問題は、「トロッコ問題」だ。人工知能が操作をする時、人間の命をどう扱うか、誰を優先的に生かすのか、という問題である。この解決策ができない限り、人類は人工知能をあらゆるものに応用できない。
私は、この問題を解決する最初の人間になりたいと思った。私はプロジェクトを立案し、実行することにした。その名も「トロッコ新境地」だ。私は仲間を集めた、様々な分野から専門家を呼んできた。技術者はもちろん、宗教学者、歴史学者、憲法学者などあらゆる分野の専門家を集め、議論を行った。議論は慎重に、そしてより良いものを見つけようと、議論は進んでいく。
議論は、3年ほどで終わり、実験段階に入る予定だったが、議論は想定以上に時間を要した。議論の内容は基本的には、人工知能に肯定的で、人工知能を信じようとする人たち。人工知能に否定的で、人工知能を信じない人たち。人工知能ではなく、トロッコを改良して、問題を解決できないかと考える人たち。という、3つの派閥ができ、それぞれが討論し合った。
議論が7年目に突入して、誰もが諦めかけていたその時、突如として、全会一致で提案が通った。選ばれた派閥は、トロッコ改良派だった。彼らの提案した、画期的な案はこうだった、「トロッコを加速させる」それだけだった。
彼らの案は、実に画期的なものだった。人工知能に判断する時間があるから、人工知能に責任が発生する。それは、事故ではなく、人工知能が他殺を行うことになってしまうからだ。だから、トロッコを人工知能の処理速度より早く、動くようにすればいい。そう、彼らは実にユーモアある案を提案した。
そうして、人類の叡智を結集させ、最速のトロッコを作ることに決めた。世界中から、国籍関係なく優秀な人材が集められ、最速のトロッコが開発された。このトロッコは理論上、光速の10倍から1000倍程度の速度で移動できるというものだった。これなら、トロッコ問題は、問題でなくなる。人類全員が、希望を持っていた。
そうして、人類はトロッコ問題に終止符を打つため、最後の実験段階に進んだ。もちろん、このトロッコは特別だ、ゆうに全長200mを超えるものだ。このトロッコが人類の希望なのだ。
そして、トロッコが始動する。私は言った。「トロッコ射出用意」そうして、時は来た「発射!」トロッコは勢いよく飛び出した。そうして、我々の想定では、月にトロッコがぶつかる予定だったのだが、トロッコは第三宇宙速度を優に超え、太陽系外へと行ってしまった。
そうして、歓喜に人類が包まれていた中、突如として世界中のコンピューターが何者かに乗っ取られた。その内容はこうだ「キサマラノキシュウコウゲキニヨッテワレワレハタダイナソンガイオッタ」「キサマラ二タイシテッテイコウセンをオコナウ」
この数時間後、異星人の宇宙戦艦が地球を包囲した。人類は絶望した、彼らの技術力は、人類と桁が違う。誰もが絶望していたその時、人類は決戦兵器があることに気づく。そう、「トロッコ」だ。人類は残された時間を使って、最速のトロッコを作った。異星人の攻撃のカウントダウンが始まったとき、人類は地球上から、敵の艦隊にトロッコを射出した。
そうして、数日後、異星人の地球への侵略艦隊は、全てトロッコによって撃破された。そう、人類は自分達よりも、高レベルの文明に対して、勝利を収めた。トロッコによって。
そうして、星間戦争が繰り広げられ、異星人の同盟国も参戦したが、人類は諦めなかった。トロッコを信じて、トロッコを射出し始めた。その後、戦争が始まってから200年、異星人は講話を申し入れた。
その内容は、「ワレワレハコウワシタイ、ダガキサマラノタイリョウハカイヘイキトロッコハ、スベテハイキシ、コレカラツクッテハナラナイ」というものだった。人類はこれを拒否した。そうして、人類はトロッコを武器に全宇宙と全面戦争に突入した。
これが、トロッコ問題(歴史用語)だ。現在も、トロッコを武器に、我々人類は孤軍奮闘している。あと、何台トロッコを作れるのだろうか、、、、、
トロッコ問題(歴史用語) 砦二光 @revelator_Hirakun
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