♪27
高校に入ってからも俺たちの距離はたいして変わらなかった。
「お前、友達付き合いとか大丈夫か?」
「前も言ったけど、だいじょぶやで。」
桜花は俺のベッドに寝転びながらそう言う。
新学年が始まってから、俺は早くも孤立した。桜花と同じクラスになっただけマシだが。クラスのカースト上位にいる桜花は話しかけてくれる訳で、周りの奴らからは「なんであんな奴が?」みたいな目で見てくるわけだ。
「桜花は自分の勉強せんでええんか?」
「ん?今んとこついていけてるし。」
忘れていた。そこそこ偏差値の高いこの高校に、ほぼノー勉で受かりやがったってことを。俺の方は死ぬ気で勉強したのに。「私ここ行くから、出来たら一緒に行こ。」って言ってきたから死ぬ気で勉強したのに。結局、頭では桜花には勝てないや。
それにしても、桜花の奴、さらに可愛くなりやがって。ずっと緊張していたのに、今ではそんな気も起きないほど雲の上の存在みたいだ。
「どしたん?」
あぁ、見すぎたか。
「別に。」
『当たり前の日常が
どんどん風化していって
気づけば忘れてた
何のために 生きるのかも
僕らのside storyは
まだ始まったばっかさ
栞なんかいらない
だって今が 楽しいから
窓際に積もってく埃も
積み重なった漫画の山も
君にしか見せられないものばかりさ
大殿籠もる君を横目に呟くよ
“I need you”
忘れ物なんか
ここに置いていきなよ
だって君と会う口実が
欲しいから
ありきたりな言葉で
どんどん惹かれていくのも
蜜に沈んでいく
抗おうとは しないけれど
僕ら変人コンビさ
「うわぁ」って顔で見られる
だけど僕たちは
楽しいから それでいいさ
窓際に積もってく埃も
しわくちゃになったシーツも
君にしか見せられないものばかりさ
すやすや寝てる君を横目に呟くよ
“I need you”
キャンバスに描いた
景色を通り越して
待ってくれやしないからさ
見つけたいの
忘れ物なんか
ここに置いていきなよ
だって今を何回でも
続けたいから
Ahこんなふうに
ずっと過ごせたなら
君とのside storyは
きっと完成するから
いつかその日が来るまで
ずっと“I need you"』
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