♪19
「ねぇ彪河、外行かない?」
「やだ。寒い。凍る。」
今日もまた、隣でくっついている桜花が話しかけてくる。
「雪やで雪!こんなん久しぶりやん!」
「降ってるだけで積もってねぇし。」
「おぉ!ちゃんと外見てたんだ!」
桜花がニヤニヤしながら俺の顔を覗き込む。鼻と鼻が当たりそうな距離にあることを気づいてるんだろうか。いや、気づいてないな。
「あぁ、そうだよ。悪かったか?」
「んーん。でも彪河もそういうこと気にするんだと思って。」
「あんまり雪が積もらない大阪平野の人間やからな。こんなんでも。」
「そうだった!廃人じゃなかったんだった!」
「よぉーし離れようか。」
桜花が興奮して近づいてきたので、肩を持って引き剥がす。さすがにこれより近づかれると俺の身がもたない。
「ちぇっ。きゃーたすけてーw」
「はいはい。残念ながら家の周りには誰もいないから。」
行動パターン的にはの話だが、ほぼ100%そうだろう。少しは効いたのか、桜花はしゅんとなってしまった。こうなったら早めに手をつけないとあとからの対処の方が面倒くさくなる。
ちょうどいいところにチョコブラウニーがあったのでそれを桜花の口の中に突っ込む。
「ん〜甘ぁい♡」
安上がりな女だなw
『共鳴する 孤独の音
まだ残ってる 記憶の音
本当のこと 知らないけど
僕はそこで息をしてた
桜までは まだ早いし
赤く染まるの もう過ぎてたし
赤くした頬 つついてみて
僕はそっと目を閉じた
雪の舞う季節に
僕ら緩い空気に
あてられていたんだ
まだ未熟なままでさ
everything for you いつまでも
夢を見てた
たかが初めてのことだけど
心躍らせていた
置き忘れた 軌跡を
言葉にして
それに何と名前をつける?
こんな僕に何色を付ける?
こんな僕に何を言う?
こんな僕になぜ話してくれる?
なぜ僕にそこまでする?
everything for you 君に贈る
薄氷の歌
消えそうで崩れそうな
言葉紡いだ
終わりかけた 思い出の
続きを描く
それを君に見せたい』
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