♪16
友達のままというものの、やはり少しずつ距離が近くなっていくもので、その年の年末にはほぼくっついていた。
「なぁ桜花、暑いんだが。」
「知るかよ。彪河が離れたらいいんちゃうん?」
「じゃあ、その手はなんだ?」
「えへへぇ。」
昔から距離が近かったが、それでもこの歳になると気にするようになるもんで、今も二の腕に当たっている胸の感触で気が狂いそうだ。それでも、そんなことは気にしないと言わんばかりに、桜花は体をくっつけてきて、俺は抵抗するのを諦めた。
「おっ、抵抗せんくなったね。どしたん?ムラムラした?」
「んなわけねぇだろ。」
してるわアホ!これ以上抵抗したら、動かす度に二の腕に意識が持っていかれるからな。くそっ。覚えとけよ。
「うわっ!隣から明らかに熱い視線が!?」
「はいはい、三文芝居はもうやめろ。」
「つれねぇなー。」
俺たちは密着したまんま、音楽番組のクリスマススペシャルを見ていた。
『友達のまんまって
その線引きはどうすんだって
僕は問うけれど
君は何も答えない
友達は何だって
その線引きは何なんだって
僕は問うけれど
君は何も答えない
たとえば放課後遊びに行くとか
LINEを交換してるとか
DMでやり取りしてるとか
あぁ友達いない人の典型
人は孤高をぼっちと呼んだりするけれど
ぼっちは自分をぼっちって言ったりしないからね
僕は僕というコミュニティを持っていて
ん?そのメンバーって?僕だけ
友達はいるかって
ただの陽の当たる判断基準に
愛想笑いして
僕は何も答えない
友達は何だって
そんなの僕には分からないしさ
そのルールとかも
勝手にそっちで決めてるしさ
たとえば教科書借りに行けるとか
消しゴムを貸してくれるとか
体育でペアに困らないとか
あぁ友達いねぇって気づいたわ
人は孤高をぼっちと呼んだりするけれど
ぼっちは自分でぼっちなりに頑張っているからさ
本を読んだりゲームをしたり片や執筆したり
ん?その時相手はって?僕だけ』
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