♪5
俺はその日、小学校の頃のアルバムを漁っていた。
「懐かしいな…」
誰もいない部屋で、そう呟く。
見ていたのは小学校の文化祭。通称サダフェス。予算も小学生ながら、その中で工夫しあって、結構なものを作ってたんだなって思う。たしか俺は、お化け役の最後の一人で、出口でつまらないようにダッシュで出させる係やったっけ?実際、マジで気持ち悪いからって逃げられてたのを覚えている。
「この頃はな…」
この頃はまだ、クラスメイトとも打ち解けられていた。なんせ、桜花とずっと一緒にいたからな。あいつと一緒にいりゃ、クラスで孤立することはないし。
あの頃は桜花がクラスの中心?いや、クラスを引っ掻き回していた。いい方向に。だから、クラスで仲間はずれになっているやつなんて居なかったし、『みんなで』が何となくできる雰囲気だった。
「まあ、今となっては、俺は学校にも行ってないんだがな!」
俺はアルバムを閉じて、本立てに立てる。さっきまで思い出していたからか、いないはずなのに「あんたも来たら良かったのに」って声が聞こえた気がした。
『億劫なくらいに 刻むビートに
君はなんて名前をつける?
僕らの関係に 塗り重ねた関係に
君はなんて名前をつける?
言いたいことあるなら言ったらいいのに
なんで君は黙ったままなの?
気づかないことばかりじゃ足んないし
ちょっと寂しくなるし
誤魔化されて君は大人になった
まだ春は長いのにさ
アリかナシかって言われたら困るけれど
君のことずっと見てた
誤魔化されて僕は子供になった
まだ秋は来ないのにさ
君が掌から零れ落ちる日まで
叫ぶよ I'll follow you.
物語のつづきに 軋むメロディーに
君はなんて名前をつける?
割れたガラスに 逆さまの世界に
君はなんて名前をつける?
淡い記憶の殻には本当のことはない
なんて僕は甘い人なの?
気づけないことばかりで満ちてるの
この水槽の瞼は
今を諦め君は大人になった
まだ夏は来ないのにさ
桜の花は儚く散って染めた
悲しみに負けるように
過去を諦め僕は子供になった
まだ君を見てたいから
桜の花が緑に変わる日まで
伝えよう I'll follow you.』
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