♪2
朝、目が覚める。何回見ても変わらない未読のメッセージ、
『いい曲書けた。今から見に来て。』
まだ信じられないが、いつまで経っても鳴らない俺のスマホの通知音のことを考えると、やはりそうなのかもしれない。
「いや、これは夢だ。」
そうだ!これはいつか来るであろう夢。だいたい70年くらい先の夢だ。まったく、ヒヤヒヤさせやがって。
ほっぺたをつねってみる。痛かった。
「本当なのか…」
窓を開けて、隣の部屋を見てみる。明かりはついていない。家にすら人の気配を感じなかった。そのとき、やっと理解した。眠ったんだと。
「いい夢見ろよ。」
そうとだけ、誰もいない隣の部屋に伝えて、窓を閉める。真っ暗になった部屋で白く映える、テーブルの上の白紙のメモ帳を眺める。「何か書かないの?」と問いかけられているようだった。仕方なくペンを手に取って、歌詞を書こうとする。でもなかなか思いつかない。
「はぁ、桜花ならどうやって書いてるんかな?」
なんだかセンチメンタルな気持ちになってくる。幼馴染1人失うだけで、こんなにも心にポッカリと穴が空くのか。もうちょっと一緒にいたかったな。
「あっ、そうか。今なら…」
『おばんです
あなたの夢を喰らいに来ました
私の名前はバクです
以後お見知り置きお願いします
不安です
なんてことばっか言ってないでさ
私に心を開いてよ
痛くはしないからさ
眠れない夜には
君の枕の下で きっと…
喰らいます喰らいます
あなたの夢を喰らいます
いいとこだったらごめんね だけど
喰らいます喰らいます
悲しい思い出喰らいます
あなたが前向けるように
寂しい夜にはcry cry cry
そんなときには会いたいな
過去と嘘の涙の湖に溺れてさ
悲しい夜にはBye-Byeだい
嬉しい夜こそhigh high high
心のままに生きていれば きっと…
喰らいます喰らいます
あなたの罪を喰らいます
泣きそうだからいいよね もう
喰らいます喰らいます
独りの真夜中喰らいます
あなたが寂しくないように
眠れない夜には
あなたの夢に飛び込んで きっと…
喰らいます喰らいます
あなたの思い出喰らいます
いいとこだったらごめんね だけど
喰らいます喰らいます
とっても優しく喰らいます
私は甘噛みのバクです』
俺がバクになったらって、そんなのは儚い夢だけど、あと少しだけは一緒にいれるのかな?
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