生涯小説家一筋志望のニート気質な俺に、健気でツンデレな学年一の美少女彼女が居る事を誰も知らない(公認です)

あおぞら@書籍9月3日発売

第1話 隠しているつもりの公認のバカップル

 ――私立未来高校には1組の有名なバカップルがいる。


 そんな噂が学校のみならず街にも広まっており、更には違う県の人でも知っている人が多く、ファンクラブがあるほどだ。

 何故たかがバカップルな程度でそこまで広がっているのか……それには理由がある。

 まず二人共どちらも有名だからだ。


 男――佐藤修也さとうしゅうやは、容姿は上の下から上の中とそこそこ整っており、交友関係も広いが、自己紹介で将来の夢が小説家でそれ以外で働きたくないと生涯ニート宣言を堂々とクラスメイトの前で豪語する変人。

 しかし豪語するだけあって既に何作も書籍化しており、とある作品は累計発行部数50万部を超えており、アニメ化までしている大人気ラノベ作家である。

 女――天音唯あまえゆいは、100人が見れば100人が可愛いと言うであろう物凄く整った容姿をしており、成績優秀、運動神経抜群、性格もよく学年一の美少女として君臨している。

 更に既に様々な有名雑誌からのオファーが殺到している大人気のモデルとして活動しており、TVへの出演はNGとしているが、クイッターのフォロワーは30万人を超える。


 この通りこれだけで2人が如何にキャラが濃いいかが分かるだろう。

 確かにこれだけで大分有名にはなるだろうが、修也に関しては書籍化していることは家族と唯にしか言っておらず、完璧に隠し通している。

 唯に関してもSNSでも雑誌の修也の事など1回も出してない。


 しかし2人の存在は同じ学校の生徒以外にも様々な人間が知っており、2人に会おうとわざわざこの街に来る人まで居るほどだ。

 一体何故なのか。


 それは―――本人たちは隠れて付き合っている、バレていないと思い切っているが、実際の所は……見ていて砂糖を吐き出しそうなくらいにイチャイチャしているからだ。

 更に言えば、バレないように注意しているせいで逆に目立っており、その姿を見ていて癒やしになるからである。


 しかしそれ程有名なら本人達は流石に気付くと思うだろう。

 だが皆バレていることを決して言わず、ただ見守っているだけなのでバレないのだ。

 更に2人のことはファンクラブ以外では言わないと言う暗黙のルールとなっており、2人のしているクイッターには絶対に上がってこない。

 そもそも2人はファンクラブがあることすら知らないのだが。


 現在この非公式のファンクラブ会員数は300万人を超えており、現在も増加中だ。

 最近では海外の人も入る様になってきたほどだ。

 このファンクラブの主な活動は、2人を見守ることと……言いふらそうとする者の排除。


 幾ら殆どの人間が黙っていようが、少数は必ず暴露しようとするものが居る。

 そんな時はファンクラブに所属している警視監や大物起業家の者が先に脅―――お話をして予め防ぐ。

 この様なこともあり、本人たちは未だにバレていないと思いこんでいるのだ。

 

 そんな超有名人な2人だが……現在は秘密の映画デートの最中である。




♡♡♡




 修也と唯は仲良く恋人繋ぎをしながら電車に乗っていた。

 そんな2人はおそろいの丸渕サングラスを付けて、ハットを被っている。

 修也はサングラスに手にかけてドヤ顔を披露。


「なぁ唯、俺にしては今回の変装完璧じゃない? これなら絶対にバレない自身がある!!」


 修也がそう言うと、唯は改めてまじまじと修也を見た後でボフンッと顔を真っ赤にして目をぐるぐるさせる。

 何時もの、修也がかっこよすぎてパニックになったのだ。

 その時は唯の頭が真っ白になっている状態なので、つい少しツンとした言葉になってしまう。


「ま、まあ、修也にしては、が、頑張った方なんじゃないかしらっ!? 私の方がより完璧だけど!」

「そうだなぁ……唯はファッションセンスあるからな。ただでさえ可愛いのに服が似合っているから余計可愛いし」

「うにゃっ!?」


 修也の素直な褒め言葉に、更に顔を真っ赤にして修也をポコポコと殴る唯だが、誰が見ても照れ隠しだと分かるだろう。

 しかし唯は毎回それをした後で嫌われると思っているのか、


「……さっきはごめんね修也。とっても嬉しくて恥ずかしかったの……」


 少し眉尻を下げて申し訳なさそうにシュンとしながらも、頬を染めてこうしてデレを全面に出しながら謝るのだ。

 すると今度は修也の顔が少し赤くなり、「お、おう、俺は全然気にしてない……」と恥ずかしそうに言う。 


(((((((((((((……と、尊いッッッ!!)))))))))))


 近くで2人をこっそりと見ていた様々な人の心の声が一致した瞬間だった。


 こんな感じのやり取りが普段のデート中の2人の会話であり、ファンクラブ会員でカプ厨のご馳走である。

 

 これはそんな2人と2人を陰から見守る様々な人の物語。

 

 

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