第47話
朝食を食べたあとデュータさんは「用事がある。またな(小声で)レオ、生き残れよ」と言ってそそくさと帰って行った。
リビングでは俺とアフェクトさんが正座させられていた。
その正面には中央にエイシャ、右側に
若干、
今のアフェクトさんは昨日の日中見た姿に戻っている。彼女も擬態系のアイテムを使用しているのだろうか。
「アフェクト、私の目を盗んでレオを襲うとはどういうこと?」
「それは、誤解よエイシャ。あれは事故なのよ」
「ん、よくある言いわけ。本当のところは?」
「レオが水を生成したことに驚いて問い詰めようとして躓きました……」
「レオ、本当のところは?」
「俺が寝ぼけててアフェクトさんの目の前で水を生成したことはホント。それとアフェクトさんの姿が昨日と違っていたことを言及しようとしたところで彼女に押し倒された」
エイシャ達三人は円陣を組んで何やら話し合いを始めた。
「悪気は無かったのかな?」
「
「ん、それより気になることができた」
「姿が違っていたことだね」
「そうだよね。やっぱり擬態系アイテム?」
「ん、確認する」
三人の視線がアフェクトさんに向く。
「アフェクト、何を隠してる?」
「あ、あ〜、言わなきゃ駄目?」
「ん、レオの言った言葉の裏付け」
「う〜〜っ、どうしても、駄目? レオのことも黙っとく、誰にも言わないからさ。駄目?」
「ん、水くらいなら、私も出せる」
「「「「えっ!?」」」」
驚く
「ん、できた」
「できたな」
「「できてる」ね」
「レオだけじゃないでしょ?」
「そうだね…… 交換条件にはならなそうだね」
はぁ〜っと息を吐いて肩をすくめたあと「他の人には言わないでね」と言って「ルゥヴェ」と唱えた途端、ミディアムヘアが束ねられたロングヘアに変わって耳が長くなった。ん? 元に戻ったのか。
「「えっ、「エルフ」」だったの?」
「……はい、そうです。正確には違うけど……」
微妙な雰囲気になったところで議長、じゃない、エイシャから「緊急会議を招集」と宣言があがる。
急に降り出した雨、外に干してあった洗濯物を取り込んできたミドヴィスまで引き留められて四人は車座に陣取った。
「あの〜っ、そろそろ、足を崩していいかな……」
「
「あ、はい」
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
目の前で繰り広げられているというのに、会話が全然聞き取れない四人の話し合いについついアフェクトさんに訊ねてしまう。
「何を話してるか聞き取れますか?」
「いや、聞き取れない。それより足がジンジンしてきたんだけど……」
「あ〜、わかります。慣れないと痺れますよねえ」
と言いつつ俺は
ついアフェクトさんの足を突っつきたくなるけど今は我慢。そんなことをしてるのが見つかればどうなるやら…… 悪戯したくなる気持ちから意識を逸らすためにアフェクトさんについて質問をすることにした。
「アフェクトさんはエルフなんですか?」
「もうバレちゃったから言うけど他の人には黙っててくれる?」
「まあ、ここにいる皆んな以外には」
「はぁ、しょうがないか。私はハーフ、ハーフエルフだよ。母親がエルフ、父親は多分人間……」
「多分って…… 聞いたらまずい話ですか?」
「そうだね、あんまり気分のいい話じゃないよ」
「関わっちゃいましたからね……」
「なら、ちょっとだけね。お母さんは私を孕ったからエルフの集落を追放されたんだ。そのお母さんも私が八つの時にいなくなっちゃってさ…… それから、探索者だった義父に拾われて今に至るんだ。だから父親のことも、今お母さんがどうしているのかもわからないんだ」
「それは…… なんというか、すみません」
「ううん、もう受け入れてるからね。大丈夫だよ」
「その、アフェクトさんは一人で探索者をしていると聞いたんですが…… それはハーフエルフということが関係していますか?」
「おっと、言いにくいことを聞いてくるね。でも、そうだよ…… ハーフエルフ、いやエルフだけじゃないけどハーフを忌み嫌う者は多いんだよ。他にも獣人の中にもハーフであることを忌避する種族はいる。気にしない種族もいるけど、なるべくならそういったいざこざは避けたいからね」
「そうですよね……」
多分、俺はこの話を聞いた時にこのあとの決断を下したんだと思う。
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