第30話 寝取られ物の王道パターン?
「なぁ純平、大丈夫か?」
「まぁなんとか」
俺は家を出たあと最寄り駅の火野駅に向かいそこで合流した歩斗と電車に乗り学校に向かっている
「裕翔となんかあったんだってな」
「まぁな」
「中学の頃はそんなやつじゃなかったのにな」
「あぁ」
中学の頃俺と歩斗、裕翔は仲の良い友達だった
優愛も同じ中学だった
一年の頃俺は友達が全然いなかった
このまま卒業まで友達できないのかとニ年生になった頃に思っていると歩斗の方から話しかけてくれた
俺と歩斗が教室で会話をしているときに話しかけてきたのが裕翔だった
裕翔はどっちかと言うと陽キャタイプだったのでびっくりした
最初は怖かったのだが話していると俺たちはみんな意外と趣味が合うということがわかりそれからの中学校ではいつメンのようになった
俺と優愛がお互いに認知したのは高校受験のときだった
それまでは同じ中学校だったのだがお互いクラスが別々で特に何もなかった
高校受験のとき消しゴムをなくしてしまった優愛に俺が消しゴムをあげたことがきっかけで話すようになった
俺は結構心配性で家の鍵は3回ぐらい確認するし
ストーブやこたつ電気も2、3回ほど確認しないと気がすまなかった
例にもれず受験のときもシャーペン5本消しゴム5個を持ってきていた
受験開始10分前には席に座っていた俺の目に入ったのは隣の席で何かを探している女の人だった
本当はこういうとき精神を安定させるために話しかけたりしないほうがいいのかもしれないけどそれでも困っている人を放っておけなかった
声をかけてみると消しゴムを探しているようだった
「俺消しゴムいっぱいあるからあげるよ」
言い一つ優愛に渡した
そうすると優愛は
「ありがとうございます、本当に、本当に」
と言っていた
俺は受験が終わってすぐ帰ってしまったのでそこから優愛との接点はなかった
少しときが経ち入学式
指定された教室に入りこれからの高校生活について期待と不安で胸がいっぱいだったとき女の人が俺の方に近づいてきて声をかけてきた
「受験のときはありがとうございます、おかげで合格できました」
優愛は全然気にしなくていいのにわざわざお礼を言いに来た
そこから機会があるごとに会話をして、相手から告白をしてくれて付き合うことになった
あとから知った話なのだが優愛と裕翔は幼馴染らしい
「本当に優愛も裕翔も変わったよな」
「本当だよ」
本当、なんで優愛はあんなに変わってしまったのだろうか
前までは慕ってくれていたのに今ではゴミを見るような目、考えれば考えるほどわからなくなる
考えれば考えるほど胃が痛くなってくる
「なぁ純平、失礼なこと聞いていいか?」
「あぁ別にいいけど、どうしたんだ?そんなに改まって」
「二人に復讐ってしないのか?」
「復讐」
歩斗から聞いた言葉を噛んで咀嚼するように繰り返した
「そう、復讐、あの二人、ムカつかないのか?俺は親友をひどい目に合わせたアイツらは許せない」
復讐か、考えたこともなかった
あれで終わりで、優愛の勝ち逃げだと思ったから
でも別にしたいわけでもない
俺は今の生活に満足している
「少し考えさせてくれ、今日中に答えは出すから」
「わかった、やるなら俺はとことん協力するぜ」
俺は今のところ復讐をする気はない
俺のそんな考えとは裏腹に胃の痛みは歩斗の話によって少しやわらいでいた
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