第10話 唯さんとお出かけ(2)


試着室から唯さんが出てきた


「どうかな?」


顔を少し赤くして恥ずかしそうに聞いてくる唯さん

とても可愛いと思う

もし俺が唯さんを狙えるような立場だったら絶対狙っていたと思うくらい可愛かった


「とてもいいと思います」


「そう?なら買っちゃおうかな」


その後もう一つも見せてもらった

こっちもとても可愛かった

唯さんは俺が選んだ服を両方買うらしい

良かった気に入ってくれて



お会計を済ませて服屋さんを出た

唯さんには上下5着ずつ買ってもらった

申し訳ない気持ちになった


ゲーム屋さんに来た

今週家でやる用のゲームを買うらしい

とても真剣にゲームを選ぶ唯さん

俺はその横顔をぼーっと眺めていた

急にこっちを向き


「これとこれどっちがいい?」


と聞いてくる唯さん

その時不意に見せた子供のような幼い笑顔

その顔に見とれてしまい少し止まってしまう


「どうしたの?」


そう聞かれるが


「どっちも楽しそうだと思います」


という曖昧な返事しか返せなかった


他のゲームも色々見る

唯さんはゲームを結構やる人らしく

色々ゲームのことを教わった


とてもびっくりした

なんと唯さんゲーム機本体も買うらしい

唯さんの家にはもうすでに1台あったのでそれでプレイするのかと思っていた

気になったので質問してみた


「唯さん、ゲーム機も買うんですか?」


「うん、2つあったほうが便利だし、パーティーゲームじゃないやつは2つないと対戦できないゲーム多いし」


「なるほど、そうなんですね」


正直俺はあまりゲームをやらずに育って来たので

今日唯さんに教えてもらったことは知らないことばっかりだった



色々見た結果

モンスターを育成して戦わせるゲームが一本ずつと

パーティーゲームを2本買うことになった

お会計をする

値段は四捨五入すると6桁に届くぐらいだった

申し訳ない気持ちでこの場から消えそうになった



「純平くん、ご飯食べに行こうか」


「はい」


お昼なので唯さんとご飯を食べに行くことになった

選んだお店はうどん屋さん

平日なのであまり混んでいなくすぐに席につくことができた

何を食べようかそう思いメニューを開く

その時


「あれ?唯じゃん?何その子彼氏?」


そう言いこっちに近づいてくる男の人

唯さんの知り合いをあまり悪くは言いたくないが見た目は俺の苦手なタイプだったというか最近苦手になった

髪は茶髪でピアスをつけている、英語が書いてあるシャツにジーパン身長は俺よりも高そうで175ぐらいに見える

いわゆるチャラ男というやつだろうか

この前の休日に見た裕翔の姿と重なる

うちの学校意外と校則がゆるくピアスの穴があいているぐらいだったら少し注意されるくらいなので

休日につけている人も多い

あまりその人の姿を見たくなかったので唯さんに視線を移す


唯さんの肩が震えていた


「なぁ唯俺とまた遊ぼうぜ」


男がそう言うと


「純平くんと遊んでいるので無理です」


そう言う唯さん

声が震えていた


「別にいいだろ、そんなガキほっといてさ」


そう言いながら唯さんの肩に手を置く男


「っ、」


唯さんが声にならない声を漏らす


唯さんの目から涙が落ちた


こいつは許せない、俺の恩人を泣かせた

別に俺の悪口は良い、もともと俺と唯さんが釣り合うなんて思ってすらいない

でも唯さんを泣かせることだけは許せない


だけど俺に何ができる?

この人の言う通りじゃないのか?

俺はガキだし唯さんには釣り合わない


また俺は自分に言い訳して逃げるのか

あのときみたいに


優愛のときはなぜか怒りよりも諦めが勝った

だけど今は違うだろ

前に唯さんにもっとわがままを言ってほしいと言われた気がする

唯さんとこの人の関係は知らない

だけど俺はこの人が嫌いだ

俺は唯さんが好きだ

唯さんを泣かせたこの人は嫌いだ

なのでわがままを言おうと思う


「俺はあなたが嫌いなので帰ってください」


俺はあの男にそう言った

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