第4話 最悪のスタート


ホームルームが終わり何事もなく1時間目が始まろうとしていた

カップルが別れたぐらいで学校の予定は変わらない


俺はいつも授業開始3分前まで歩斗と来翔と雑談をして、その後授業の準備をして席につく


(1時間は国語か)


バックの中の教科書とノートを探す


(あれ?無いかも)


鹿原第一高校は一様進学校なので毎日教科書類は

持ち帰っている

いつもは忘れ物などしないのに今日に限っては忘れてしまった

理由は朝、出発ギリギリまで学校に行くか行かないか悩んでいたから


というかいま考えるべきなのは忘れた理由じゃなく

これからどうするかということ

まぁどうするかといっても隣に見せてもらうしか選択肢は無い

隣のクラスに借りに行こうとしてももう時間がない

幸い国語の先生は厳しくないので許してくれると思う

授業を受けるためにここは腹をくくるしかない


国語の先生は授業開始ギリギリにしか来ないので

授業開始後に忘れた旨を伝える


授業開始のチャイムがなる


授業開始の挨拶後席を立つ


「どうした?桜井」


「えっと、、教科書忘れてしまって」


「最近どうした桜井、昨日も休んでたみたいだし」


「体調があまり優れなくて」


体調が優れなかったというのは本当だ

寝取られた事実について考えていたら気持ち悪くなってしまい、実際何回か吐いた


「体調管理は大切だぞ、どうしようもないこともあるけど」


「はい、気をつけます」


「ノートはあるのか?」


「ノートはルーズリーフがあります」


「そっか、ルーズリーフ無くさないように明日ノート持ってきたら挟んでおけよ」


「はい」


「教科書は隣のやつに見せてもらえ」


「わかりました」


もう言って席に戻る

席に戻る途中先生がこんなことを言ってきた


「桜井、授業中だからな、教科書見せてもらうだけにしろよ?」


その発言で教室がどっと沸く


その発言教師がしていいのかよ?と思った

とりあえず否定も肯定もしないように苦笑いで切り抜けようとすると、隣の席のやつが口を開いた


「しませんよ、そんなこと」


今まで優愛はクラスの人達に付き合ってることについてからかわれたときは冗談混じりに返答していた

だけど今回は真面目に、声のトーンはとても低く

1ミリの笑いも入っていないかのような返答だった

クラスの人達も察したのか笑いは収まった

先生も何事も無かったかのように授業を始めた


俺は席に座り隣のやつに声をかける


「すいません優愛さん教科書見せてください」


「はい、あと名前で呼ばないで」



地獄の50分間は終わった

授業中のクラスの雰囲気は、察してほしい

良くは無かったと言っておく

休み時間になった今でもあまり良くない空気が漂っている



さっきの1件で別れたということが夢じゃなかったということを再確認してしまい少し悲しくなった

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