閑話 01★

R15的な表現があります。

苦手な方は物語とは関係ないので飛ばして大丈夫です。


あとがきであらすじをいれておきます(あまり意味が無いですが)


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 俺は何故か正座させられている。


 目の前にはフレーナ、リリア、マリチャパ、エイシャの四人の女性。マリチャパ以外は怒った顔をしている……何故こんな状況になったのだろう?


「それで、エイジはこの人……恋人でも無いリリアさんの身体を隈無く触ったと言う事だけど反論は?」


「異議あり、その言い方には悪意を感じる……やむおえないリリアの事情で協力したまでだ」


「異議は却下なのじゃ、結果的に妾の裸体に隅々まで触れた事は変わりないのじゃ」


「ちょとまて、話が違うじゃ無いか」


「話は変わってくる物じゃ」


あるじ、触りたければいつでも好きなだけマリチャパを触ると良い」


「ちょっと、黙っていようなマリチャパ」


「詳しく話して貰いましょうかエイジ殿」


 いったい何故こんな状況になったのだろう……再度同じ事を考え、俺はその原因である過去を思い出す。




□□□□ 数週間前 □□□□




 アンドとの一件が終わったその日の夜にそれは起こった。


「もう我慢出来ないのじゃ!! ずっと鎧を着ているのもうんざりじゃ!! 妾は湯浴みを所望するぞ!!」


「湯浴み? 風呂か……ここにはあるのか?」


「薪を使わずにお湯が沸く超遺物アーティファクトのお風呂があります……うちの自慢ですから」


 湯を張る準備が終わった頃に従業員に連れられてバスルームへ案内された。脱衣所もバスタブが分けられていない広めの部屋だった。

 バスタブ自体は成人した大人が足を伸ばしてはいれるくらいの大きさはある。


「ふむ、随分狭いの……じゃがこの際贅沢は言っておれん」


「そうか、それじゃ思う存分バスタイムを楽しんでくれ」


 俺は振り返ってバスルームから出ようと歩き出したのだがその腕を捕まれる。


「何処へ行こうとしておるのじゃ、はよう準備をせよ」


「なに?」


「察しが悪いのぅ、湯浴みの準備じゃ……ささ、この仰々しい鎧を外すのじゃ」


 どうやら一人で鎧を外せないらしい。リリアは鎧を外しやすいように両手を軽く広げている。


『背中に留め具があるニョ……そこを……こうして……こうするニョ』


 リリアの背中に回り込み美しく長い髪をその肩に乗せるとネジコのアドバイスに従って鎧を外して脇に置いた。


「外れたぞ、これでもういいな」


 両手を広げたままのリリアを置いて俺は振り返ってバスルームから出ようと歩き出したがその腕を捕まれる。


「何をしておるのじゃ、はやく服を脱がすのじゃ……いい加減腕が疲れて来てしまうぞ」


「は? お前、何言ってんの?」


『は? このエルフ何言ってるニョ!?』


 思わずネジコとハモってしまった。


「何言ってるのはそなたじゃ、まさか妾に服を脱がさせるつもりか!?」


「いや、それが普通だろう……ってか、他人にやらせる事かよ」


「そうじゃったの、そなたは余所の大陸から来たから知らないのじゃな」


 リリアは王族たる物身の回りの世話を家臣に任せるのも義務である的な事を難しそうに説明する……だが、問題はそこじゃ無いだろう。


「男にやらせるなよ、恥ずかしくないのか? まぁいい、とりあえずマリチャパを呼んでくる」


「妾は王族じゃぞ? 王が下々の者に羞恥など感じる筈も無いじゃろ……とは言え王族の世話を出来る人間の身分も高くないと駄目じゃ。

 マリチャパ本人がどうではなく、一庶民に世話をさせるわけにはいかぬ」


 下々の者に見られてもどうとも思わないなら世話させてもいいだろう? 何そのよくわからないルールは?


「それなら俺も同じだろう……俺は偉くない」


「何を言うか、まだ見てはいないが優秀な斥候を何人も従えて、マリチャパ達にもあるじと慕われているそなたが一般人などと無理があるわ……それに共に王の資格を目指すのならいずれは対等の立場ともなろう」


 くっ、そういえば斥候を従えているとか適当な事を言った覚えがある。


「どうしても嫌なら仕方ないのう、ちと気は進まぬがアンドは一応王の資格を持った者の末裔……彼奴きゃつに頼むしか無いかの」


 あのおっさんに任せるだと!? アンドがスケベな顔をしながらリリアの服を脱がす様を想像すると、えも言われぬ不快感が走り抜けた。


「わかったわかった、あいつに頼むくらいなら俺がやるから二度と言うな」


「やれやれ、最初から勿体ぶらずにそう言えば良かったのじゃ……ほれ、はよせい、妾は早急に湯浴みをしたいのじゃ」


『ダーリン不潔だニョ、けがわらしいニョ!!』


 だまれネジコ……俺は事案を防ぐために已む無くやるのだ。でも真っ正面からやる度胸は無いから後ろに回り込んだ。


 リリアの上着をめくり上げるとそれに合わせて腕を上げる。その下からはお腹が出るくらいの長さのインナーを付けているようだ。

 続けてそれを手にかけて上に引き上げるとその下には何も付けていないようだ……ブラジャー的な物は無いのか?


「次はスカートじゃ……はよせい」


「わかったよ」


 腰骨の辺りの紐をほどくとスカートはストンと下に落ちる……長い髪で隠れているが、下着はシルクっぽい光沢を放っていて、レースの装飾が施されているのが見える。

 上下のバランスがあって無くない? この世界だとこれが普通なのか? いやいや、心を無にしろ。


 そっと両サイドに手を伸ばすと下半身を守っている布を掴んだ。


『心拍数が上がっているニョ』


 だまれ。


 俺はそれをゆっくり下げて行き何とか足下まで降ろしきった。よし、俺はよくやった、やりきった。


「これでいいだろう、後は思う存分湯に浸かってくれ」

 

 今度こそ俺は振り返ってバスルームから出ようと歩き出したのだがその腕を捕まれる。思わず振り返った先に布一枚も纏わぬ裸体が飛び込んできたのですぐに上を向く。


「何処に行くのじゃ、まさか身体を洗いもせずに湯に浸かれと申すのか!?」


「いや、それは自分でやれよ!!」


「いまさら何を言うのじゃ!! はよせい、風邪を引いてしまうわ」


 リリアは上を向いていた俺の腕を引っ張ってバスタブの方へ歩いて行く。待て待て待て!!


「何処向いておるのじゃ、はよ妾の身体を洗わぬか! さすがに身体を清めずに湯浴みなどは出来ぬ」


 くっ、やらないといけないのか? ネジコ、何か良い方法は無いか?


『それじゃ、エルフ女の身体をワイヤーフレームで表示するかニョ?』


 それはいいな、すぐにやってくれ。


『それじゃあ、モデリングのために数値が100%になるまでエルフ女の身体を触るニョ』


 意味ないだろそれ!! 却下だ、別の方法は無いか?


『ダーリンは我が儘だニョ……それならこれなら大丈夫じゃないかニョ? もう見ても平気だニョ』


 俺はそっと視線をリリアに向けると……胸の先端あたりの部分とデリケートゾーン周辺に不自然な白い横線が入っている。あれだな、TVアニメ放送の際疾いシーンとかで見るやつだ。


『ちなみに映像ソフトで発売されるとこのラインが消えているから意味が無いニョ』


 言ってる意味が分からん。とにかく、視界の問題は何とかクリアしたのでバスタブ脇にあるシャワーを見てみると、赤色と青色の蛇口が見える……超遺物アーティファクトって言っていたが、普通にお湯が出せるのか。


 蛇口を捻るといきなり適温のお湯が出てきた……それをリリアの肩口からかけて行く。


「おおおおっ、久しぶりの湯じゃ……あたたかくて気持ちいいのじゃ~♪」


「そいつはなにより」


 しばらく身体の全体に掛かるようにシャワーを当たので、いったんお湯を止めた。脇ある石鹸を手に取るが、擦ってみても殆ど泡が立たなかった。

 仕方ないので自前のボディーソープをDSから取り出して壁に貼り付ける。手をかざすとオートディスペンサーから泡が出てきた。


「おお、凄い泡立ちじゃのう~香りもいいぞ」


 人の気も知らずに無邪気に喜ぶリリア。とりあえず両手に泡を馴染ませた後リリアに手を向けてふと動きを止めた……え? 直接触るの? いまさらになってその事実に気付いた。

 だって、マズいだろう? 素肌に触れて泡まみれにしろとか難易度高いだろう?


「早くするのじゃ……見るからに柔らかそうな泡じゃ」


 リリアは嬉しそうにこちらへ見るからに柔らかそうな胸を突き出してくる……白いラインで肝心な部分が隠されているとは言え、エルフにしては豊満と言えるバストがぷるんと揺れた。


 無難に手を肩に乗せて泡を伸ばしていく。肩から首、背中、腕と白い泡が包む範囲が広がっていく。


「すごいのう、こんなに泡が伸びるとは……こんなすごい石鹸があるとはのう~これから湯浴みがますます楽しみになるのう」


 首から耳の後ろを洗うときに「んっ」とか色っぽい声を上げてくるのは本当に止めてくれ。

 そしてとうとう上半身の無難な場所は泡で覆われてしまった。残るは……くっ、煩悩退散だ。ネジコ、手のひらの感覚を切れ。


『あんまりお薦めはしないニョ……でも分かったニョ』


 手の感覚が消えて安心して豊かな双丘に手を伸ばすと、それは俺の手に押されて形を変えて行く。だから「んんっ」とか声出すな……ちょとまて、なんで眉間にしわを寄せながら息が荒い感じなんだよ。


「……エイジ……ちょっと、力を抜いて……優しく洗って欲しいのじゃ……ちょっと、いたいのじゃ」


「うおっ、すまん」


『手のひらの感覚が無いと力加減は難しいニョ』


 早く言えよ……くっ、仕方ない、戻してくれ。


 手の感覚が戻るとその手のひらに泡の感触とあたたかく柔らかいリリアの肌の手触りがダイレクトに伝わってきた。


「んっ……そうじゃ、いいのじゃ、気持ちいいのじゃ」


 お願いだから黙ってて……煩悩退散、煩悩退散。そして、白いラインで見えない場所に手が差し掛かったときに、それまでとは違う感触を手のひらに感じる。こ、これはまさか!?


「んんっ、なんだか変じゃの……ふぅ……いつもエイシャに洗って貰うときと違うのじゃ……エイジよ……んっ……妾に何かしたかの?」


「してないよ? 全然してないよ?」


 いかん、挙動不審になってしまった。っていうか、ピクッと体を震わせながら悩ましいため息とかつくのマジで止めてくれない?


 妙に時間が長く感じたが、これで上半身は達成した……そしてまだ達成率は50%だという事実に目眩いがしそうになってくる。


「ふぅ、ふぅ……悪くないのぅ……次は下じゃ、はよせい」




 ……容赦なく続きを要求してくるリリア……この後も俺は鋼鉄の精神でリリアのバスタイムを手伝うのだった。




□□□□ 現在 □□□□




「……ギルティ」


「ちょっと待て、聞いていただろう? 俺は悪くないだろ?」


 フレーナの容赦ないジャッジに俺は異議を唱える。


「それでも乙女心的には納得出来ないよ!!」


 それどんな理由でも許されないやつじゃね?


「くっ、それなら仕方がありませんね」


「いや、そっちは逆にそれで納得するのかよ!?」


「しかし、王族の……姫様の肌を見たからには責任を取って貰わねばなりません」


「仕方ないんじゃ無かったのかよ!? それともアンドに……おっさんにやらせれば良かったのか?」


「エイジ、そなたは妾が他の男に素肌を見せる事を良しとするのか!?」


「前と言っていた事が違ぇ!! ってか、お前あの時はたいした事ない風だっただろう!?」


「そうじゃったのじゃが、あの後もエイジに湯浴みを手伝って貰う度に、なんだかこう、胸がキューッとなっての、その……ドキドキしてきての……最早そなた以外の異性に身体を晒すのが嫌なのじゃ」


 急にモジモジと説明し出すリリア……やばい、聞くんじゃ無かった!!


「ギルティ!!! ボクという物がありながら許せないよ!! 今日からはボクと一緒にお風呂入らないと許されないよ!!」


「はいはい!! マリチャパも一緒に入りたい!!」


「だ、駄目なのじゃ!! エイジは妾と一緒に湯浴みをするのじゃ!!」


「エイジ殿!! 姫様を差し置いてこれ以上女性をたぶらかすなど言語道断です!!」




「しゅ、収集がつかん!! 頼む、誰か助けてくれ!!!」




______________________________________


あらすじ


リリアをお風呂に入れました。みんなに怒られました……以上。



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