開始 02
さて、
この場所は
そして、内壁で仕切られている更に奥に……というか中心部が本来の
そこは国もしくは大地ごとに内壁での仕切りなどはなく、自由に移動出来るドーナッツ状のエリアとなっているようだ。
とりあえず
都市部への入り口は外壁と同じような大きな門となっており、門から10メートルほど手前両サイドにモニュメントが建っていた。
「ここで止まれ……人数は何人だ?」
モニュメント手前で止められ人数を告げると進むように促される。
『両脇のアレで証明書をスキャンしているニョ』
全員モニュメントを通り過ぎると目の前の大きな自動扉が開いた。これで本当に
ファンタジー的な……地球で言えば中世時代的な建造物と産業革命時代にあったような建造物も見えている……とはいえ活気が溢れているのは目に見えて分かった。
広い道路を走るのは馬車以外にレトロな車も走っている。呼び名はそのまま
「妾もそなたの出した
ムカチャパ族の面々もリリアの意見に賛成のようだ。さて、ここで街並みを見渡す田舎者的行動をいつまでもしている訳にはいかない。やるべき事をやらないとな。
「急いでワレワールの状況を確認しに行くのじゃ」
「待て」
「ぐえっ」
走り出すリリアの外套を掴むと、首が絞まったのか変な声で止まった。
「な、何するんじゃ!!」
「落ち着け、リリアは反対側の大地にまで捜索手配されていたんだぞ。
馬鹿正直にその国のお姫様が『私の国はどうなりましたか~?』とか聞きに行ったらどうなるんだ?」
「うむぅ、確かにそれはまずいのう」
「ちゃんと足場を固めて順番に確実に行くぞ」
「分かったのじゃ、そなたに任せる」
焦るリリアをなだめて俺は冒険者ギルドへ向かう事にした……場所は行動の速さに定評があるネジコが教えてくれた。
冒険者ギルドはかなり広い建物だった……30人以上では入れるか心配していたが、入る事だけは出来た。
「とりあえず代表者の方だけ来て頂けますか」
さすがに全員でカウンターに向かう事が不可能なので俺とリリアで向かう事にした。他のメンバーは空いているテーブル席で待ってもらう事にする。
ちなみに他のカウンターには若い受付嬢がいたが俺達は中年のオジさんいる場所に案内された。
「ずいぶん大人数出来たな、冒険者ギルドに何の用だ?」
とりあえず「何の用?」と言うのはお約束なのか用件を聞いてくる。
「冒険者登録に来た……あぁ、実際に登録するのは15人ほどだ。
さすがに武具を装備していない女子供は別だ……この街に着いたばかりだから一緒に着いてきてもらっているんだ」
「なるほど、そのくらいの人数なら大丈夫だろう、お前がリーダーで良いか?」
事前にリリアとはリーダーをやる方向で話してある。さすがにリリアが目立つのは避けた方が良いだろう……彼女も俺を見て頷いた。
「あぁ、それで頼む。俺はエイジだ彼女はリリア……どうやって登録するんだ?」
「あぁ、それじゃあ登録する奴だけこのカウンターの前に呼んできてくれ」
俺はオジさんの受付の言うとおりに皆を呼んでくる。そのまま順番に新しいギルド証を発行してもらう。
ギルド証は臨時の証明書と違い少し立派な作りで、自分の名前や発行日、そして何より目立つのは1個☆が下段部に表示されていた……ソシャゲとかトレカのレア度みたいだな。
名前は本名である必要は無いのでリリアもそのまま愛称で登録した。
その後、簡単な
「おいおい、まさかこんな大人数で受ける気か……仕方ない。おい、いま練習場は大丈夫か?」
おっさんギルド員がカウンター奥の若い奴を呼んで確認している。その後、眼鏡をかけた男性ギルド員の案内で建物地下の練習場へ連れていかれた。
「それでは装備は……全員お持ちのようですね。あ、魔法の人は反対側の練習場ですが、手順を説明しますね」
説明によると、武器の場合は練習用の案山子、魔法の場合も離れた位置にある鉄の案山子にそれぞれ攻撃をして威力を見るようだ。それぞれ案山子の前に設置されている石碑にギルド証をかざしてから攻撃するとその威力を測れる
その試験で特定値以上の威力を示せた者だけ次の対人試験を受けうる事が出来るようだ。
「壊しても怒られたりしないのか?」
「はははは……それは凄いですね、壊せるなら壊して結構ですよ」
壊れないくらい丈夫なら心配はいらないか。俺はさっそく石碑にギルド証をかざすとその全体が薄く青い光で包まれる。
俺は予め腰に差していた
「終わりですか? ちゃんと攻撃しました? 3回まで失敗ならやり直しても良いですよ? え? 終わりで良い? まぁ、いいでしょう、それでは数値は……ERROR?」
すると、案山子の体が斜めにずれると、その半身が地面にドスンと音を立てて落ちていった。
「んなあああっっっ!?」
きっとコミックならギルド員の眼鏡が割れたのでは無いかと思うくらい目を大きく見開いて驚いている。
「ばかな、これは
その刹那、ゴオオオオンっと轟音が後ろから聞こえてきた。
「ああっ、吹っ飛んでしまったのじゃ!! これ怒られないかの?」
後ろでリリアが風の魔法……空気の塊をぶつける……で案山子を吹き飛ばしてしまったようだ。
「うそおおおおおおおん!!」
更に隣からも何かが突き刺さるような音が聞こえ、そちらを見るとマリチャパが槍を案山子に突き刺し抜けなくなってしまったようで、片足で案山子を踏みつけながら槍を一生懸命引っ張り抜こうとしている。
「こまった、抜けない……これはマリチャパの大事な槍なのに……くぬううっ」
「よし、おらもやってやる!!」「あちしも~」
「あ、ちょ、もうやめ……」
ギルド員が止める間もなく次々と案山子を攻撃していく仲間達。ちょっと、象亀と
今日、
そして、その後、冒険者を引退した☆5ギルド員による対人試験も5人戦闘不能にしてしまった所で一旦ストップがかかり、俺達が仲間内で模擬戦をし、それを評価するという前代未聞の昇格試験となったのだ……おっと、武器はお願いされてギルドの用意した模擬専用の物を使ったから死者は出ていないぜ。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
「15人とも昇級試験合格で☆3スタートはこのギルド初だ」
「ふぅ、とりあえず予定通りだな」
「恐っそろしい集団だぜ……どうしてこんな集団が未開拓の田舎に引っ込んでいたんだか……まぁいい、お前らはクランを作る予定なのか?」
「その予定だけど……もう作れるのか?」
「さすがにいきなりは無理だ、リーダーが☆4である程度の実績が必要だ」
「そうか、色々やりたい事はあるけれど明日からだな。何分、この
「うーん、お前らだけじゃ無くて一緒にいる全員だと30以上だよな……その人数がいきなり泊まれる宿もないし、料金も結構掛かるぞ」
「そこでだけど、安く借りられる土地とか無い? 建物はいらない」
「なんだ? テントで寝るつもりか?」
「ああ、そんな所だ」
「この
なるほど、このギルドと
「ちなみに俺達は
「
「俺達みたいに
「ああ、たまにいるけどお前達みたいに実力が伴った奴は滅多にいないぜ……まぁ、いい、何が聞きたいんだ?」
「そうだな、噂に聞いたんだが……エルフの国が攻められたって本当か?」
「!?」
隣でリリアがビクッとしながら俺を見る……大丈夫だ、俺がお前の聞きたい事を聞いてやるよ。
「たしかにワレワールが隣国のファーガスに攻められたらしいが……
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