一章あらすじ(ネタばれ有り)
人と妖が共存し、神も実在する世界にて、雪女の半妖である冷良はれっきとした男で、目指すのも格好良い男性だが、勘違いと偶然が重なって女と勘違いされたまま、男禁制の奉神殿にて女神木花咲耶姫に巫女として仕えることになる。
とはいえ、上司の巫女頭にして共犯である月代幹奈の助けを借りても、人間の巫女の集団に男で半妖の冷良が性別を隠しながら混ざることは難しい。特に、身内が妖に襲われたことのある同僚紅からの風当たりは強かった。
それでも、幹奈が剣の師匠になってくれるなど、悪いことばかりではない。
そうして幹奈と共に性別ばれの危機を回避しつつ、どうにか初めの一週間を切り抜けようとした目前、冷良は信条が原因で紅を深く傷つけてしまう。
しかし翌日、紅が人里の常識を無視する鬼に殺されそうになり、間一髪で冷良が助けに入る。冷良が元より紅の努力家であることは尊敬していたこともあり、仲は改善される。
ただ一つ、冷良より先に紅を助けに入り、結果的に何もすることなく終わった幹奈の、鬼に対する冷たい表情や、父親を妖に殺された彼女の生い立ちという懸念を残して。
以降は環境にも徐々に慣れ、無難に日常を過ごしていたある日の夜、冷良は不穏な気配発する幹奈に出くわす。ひとまず無難な会話でお茶を濁そうとするが、幹奈が世界の物騒な事実を話し始め、しまいには逃げようとした冷良を切りつけて瀕死にする。
幹奈と幹奈の母である梢は、父親を殺した妖を憎んでいた。だが、神々が人と妖の共存する世界を作ってしまった為、大っぴらに復讐も出来ないでいた。そんな現状を打破する為に、邪魔となっている咲耶姫を亡き者にする計画を立て、実行に移したのだという。
幸いどうにか一命をとりとめた冷良は、傷を妖力の氷で無理やり塞ぎ、神を消す儀式の行われる森へと単身突撃を決行する。
儀式を維持する梢に代わり、冷良の相手をしたのは幹奈だった。だが、彼女は今までの日常に情を移しており、振るう刃は鈍く、冷良は一瞬の隙をついて彼女を拘束することに成功する。
残っているのは梢。だが、冷良が現場に駆け付け、何故かあっさりと咲耶姫を助け出せたその時、彼女は倒れる。屈強な妖でも殺せるよう禁呪に手を染めていた梢の身体は、既に限界を迎えていた。
そこへ拘束から抜け出した幹奈が駆けつけ、梢は人と妖が共存する世界の美しさを認めながらも、復讐心を消せなかった自分の心情を吐露。敬愛する女神と愛する娘が見守る中で、彼女は命を落とした。
その後、咲耶姫たっての望みもあり、幹奈の罪は全て梢が被る形となり、以前と変わらない形の日常が戻って来るのだった。
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