カレイドスコープ

陣ちとせ

第1話

[@********* 死ね]

[@********* 消えろ]

[@********* 不細工、いなくなれ]


ツイッターを開き、予想通り炎上しているタイムラインに安堵する。今回は準備していた画像がやっと役に立った。画面を通じて、女たちの悲鳴が聞こえたような気がした。


情報化が進みインターネットが普及するにつれて、仮想世界では表現の仕方次第で情報を偽ることが出来るようになった。この時代に生まれた世代は、いつでも様々な情報にアクセスできる環境を大いに活用すると同時に、仮想世界で自分の分身をプロデュースするのが非常に上手い。例えば、幸せな言葉を添えるだけで、つまらない一日であってもさも充実した一日を過ごしたかのように見せることが出来る。実際はどんなに暗い道を歩いていても、ネット上ではスポットライトを浴びることが出来る。

だが、一方で弊害もある。情報を受け取る側にとって、何が真実か分からないというのは大きい。インターネットがない時代ですら、人々は噂話に関心があった。全世界へ情報発信が可能になった今、何かきっかけさえあれば噂話は勝手に一人歩きし、分身どころか現実に存在している本体そのものにダメージを与える。

特に写真というのは信頼度が高い。加工処理の質が上がってもなお、百聞は一見に如かずなのだろう。素人でさえも画像加工アプリを使えば別人になれるというのに。

ただ、私はこうした虚構がはびこる時代を嘆くつもりは全くない。歳とった評論家がSNSを悪と論じているのをたまに見るが、順応できない老害の負け惜しみにしか聞こえない。

いつの時代も、マイナスの情報の方が注目される。だからこそ、マイナスとマイナスが掛け合わされてプラスになることを、もっと利用するべきだ。私たちはこの新しい時代を上手く生きる方法を模索しなければならない。万華鏡で好きな模様を探すみたいに。

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