赤い街

夕闇の前にたちはだかる

軟らかい筒をみている


それはガラスのように透明ないきもの

いきもののようにグロテスクな口腔

口腔のように甘やかな連呼


覗きこむ

やはりどこか遠くへ繋がっている

街の中はどこまでも赤い背中に染まるように

楽しむまでもない時の線の中の交差の中で


響く


 夕闇の前に繋がっている口腔の透明は甘い

 街の中に背中の赤い線を交差させる連呼はグロテスクだ


人間と人間の最終的な四センチが私たちの距離から距離への指標として認知されていく

私たちの湾岸に沈む腕をつかみとる腕

赤い腕 グロテスクな透明の腕


夕闇の前にたちはだかる透明な筒を覗いては

正面からでもそこからでも横からでも変わらないと言いながら泣く


赤い背中たちが泣くように連呼する表情は

しばらく経って 驚いたことに


透明な筒になった

私は筒を抱きしめた

かわいそうに

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