光り輝く貴方の為に

仲 懐苛 (nakanaka)

第1話 プロローグ

その日リーヤは父親と一緒に皇都へ来ていた。

新しい皇帝が即位する祝宴が盛大的に行われるのだ。


10歳のリーヤは父親と祝宴が行われる広場を進む。沢山の人が広場に押しかけ、新しい皇帝の即位を祝福している。



運良く父と広場の前方にたどり着いた。




しばらく待っていると、前方のポーチに近衛兵に囲まれた皇帝と皇妃が進み出てくる。


一斉に歓声が湧き上がり、新皇帝と皇妃を讃える声がする。


「お父様。すごい。綺麗。」


「新しい皇帝と皇妃様だよ。皇妃様はすごいお綺麗だね。」


「ううん。綺麗なのは、、、」


リーヤは、目の前の二人を食い入るように見つめる。


皇帝はブラウンの髪に金色の瞳の男性で、金の刺繍がふんだんに入った豪華な服を着ていた。


隣にいる皇妃は、金と白の豪華なドレスを身にまとい優しそうに微笑み手を振っている。


リーヤは皇帝の金の瞳に囚われたように目が離せない。


(こんなに綺麗な瞳がこの世にあるなんて、信じられない。)


ふと皇帝と目があった気がした。


隣の父がリーヤに言ってくる。


「リーヤ、皇帝陛下の目を見てはいけないよ。皇帝陛下は鑑定眼の持ち主らしいからね。」


リーヤは父を仰ぎ見て尋ねる。


「どうして。見たらダメなの。あんな綺麗な瞳、見た事が無いよ。」


「恐れ多いからダメだよ。リーヤの事を診られるかもしれないしな。」


納得しないまま、再び皇帝陛下を見ると皇帝は違う方向を向いている。


(もう一度見たい。お願いこっちへ向いて。)


結局その後、皇帝陛下がリーアを見る事はなく皇妃と共に広場を後にした。


祝宴が終わってもリーヤの頭の中には皇帝の瞳が焼き付いていた。


父親に強請り、皇都で皇帝陛下の肖像画を買って貰う。


肖像画の瞳は、あの時見た瞳に比べて色褪せて見える。


自宅に帰ってからも、毎日皇帝の肖像画を眺める事がリーヤの日課になった。

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