第二十三話 また死に戻ってみる
「はっ!?」
と、陸はすぐさま周囲確認。
すると見えてくるのは。
(ここは学校の生徒会室の前!? 時間は……明るさ的に昼休みか?)
思い出せ。
ここにくる前——陸の最後の記憶。
それはたしか。
(家の玄関で澪に告白されて、それで胸がまた爆発して)
そう、死んだのだ。
つまり、陸はまた死に戻ったに違いない。
(で、俺はいつに戻ったんだ?)
と、陸は時系列を思い出す。
日中、生徒会室の前にやってきた日など、最近では一つしか思いあたらない。
(月曜日の昼休み——これから真冬と会って、お互いの境遇について話すところか?)
それ以外考えられない。
とりあえず、今は生徒会室の中に入ろう。
そして真冬に——。
ガラッ!
と、陸が開ける前に——生徒会室の内側から開かれる扉。
出てきたのは。
「獅童陸、聞きたいことがあるるわ」
真冬だ。
彼女は腕を組みながら、陸へと言葉を続けてくる。
「あなた、いつの獅童陸?」
「いつの……って、その聞き方。ひょっとして、真冬も死に戻ったの!?」
「えぇ、死んだわ。あなたが死んですぐに、あなたの妹——奈々に告白されて爆死したの」
「…….」
「あぁ、別にあなたを責めているわけじゃないわ」
「す、すみません」
「だから責めているわけじゃないわ」
と、そんなことを言ってくれる真冬。
けれど気にしてしまうものはしてしまう。
せっかく真冬と協力体制を築いたのだ。
そしてそれによって、真冬は自ら死ぬことを思い止まってくれたのだ。
(なのに俺だけ先に死ぬなんてな。しかも、真冬の死のトリガーになったのが奈々となると、余計に悪い感じがする)
などなど。
陸がそんなことを考えていると。
「それにしてもよかったわ。あなたが死に戻りをした陸で——いちいち互いの境遇とか、いろいろ話さなくてすむもの」
と、聞こえてくる真冬の声。
彼女はすぐさま陸へと言葉を続けてくる。
「今は一刻も時間が惜しいわ。このまま学校に居たら、またあなたは死ぬもの。どうせ澪に告白されたのでしょう?」
「う……まぁ、そうだけど。っていうか、澪があんなやばい行動する奴なら、最初から言って欲しかったよ」
「あんな?」
「俺の家の合鍵を勝手に作ってたり、カッター持って脅してきたり…….完全にやばいぞあれ」
「っ……澪、まさかそこまで悪化していたなんて」
と、口元に手をやって引いた様子の真冬。
なるほど、どうやら真冬も澪がそこまで拗らせているとは思わなかったに違いない。
「まぁ澪の話はおいおいよ。もう一度言うけど、今はこんなことしている場合じゃないの」
と、言ってくる真冬。
彼女はそのまま陸へと言葉を続けてくる。
「澪にロックオンされる前に、さっさと学校を離れるわよ。それで、どこかでちゃんとした対策会議をするのよ」
「いや、それ学校サボるってこと!?」
「そうよ。学校なんて行ってる場合じゃないわ」
「生徒会長がそれ言っていいのかよ!」
「学校は大事よ、それは否定しないわ。でも、命がかかっているのに学校を優先していたらアホよ」
「た、たしかに」
「わかったならほら、行きましょう?」
言って、真冬は陸へと手を差し出してくるのだった。
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