埋もれゆく貴方に

ろくろわ

なぜこの話を読もうと思いましたか。


さて、いつでも物語の最初と言うのは興味の無い所から始まる。

勿論、知りたい事や見たい事。面白そうだから、と興味を持つこともあるだろう。

しかし果たしてそれは、最初からだろうか。


読みたい本。聞きたい話の始まりは、無関心から関心へと変わるところから始まる。

そして、そこからこの話が好き。この絵が好き。この作者が好き。このシリーズが好きへと変わっていく。


無関心から、関心へ。


そして、存外、無関心から関心へと惹き付けるのは難しいことなのだ。


本日は、そんな無関心な貴方の話をしたいと思う。

無関心な貴方も、ここまで読んでくれているのなら、貴方は興味が向いているのかもしれないから。


……………………………………………………………

では、自分語りを始めていこう。


これは、貴方の話です。

私は貴方自身であり、貴方の中で話を進めていきます。画面を見ながら、次の文字を読みながら貴方を知っていきます。


生まれたときの事は覚えていません。

次に覚えていることは、回りに自分以外の他人がいる世界があることです。それは親と呼ばれることもあり、兄妹や姉妹と呼ばれることもあり、知り合いと呼ばれることもある。

知らない内に絶対的な安心感を抱き、そして、知らない内にそれぞれの価値観で関係を大事に。或は見放したりとしている。


小さい頃は、何だって出来て何にでもなれる気がした。怪獣にだって動物にだってヒーローにだってお姫様にだって。


世界が広がると、自分は小さくなる。


世界にはヒーロー。ヒロインが沢山いる。みんな自分が主人公なのだから。

いつの間にか広くなった世界で、小さくなった自分が、出来ること。やりたいことを夢として追いかけ始める。そして、世界の広がりは歪な形となりそこで終わる。

興味と関心は、ごく限られた世界だけとなり、知らない事への扉を開く鍵は重たくなっていく。


貴方は現状を受け入れ、そして抗い、無意識に自分の世界から無関心となっていく。


埋もれゆく貴方の本当の価値は貴方だけのもの。


這い出る必要も世界を広げる必要もヒーローになる必要もヒロインになる必要も感化される必要もない。


結局のところ、やっぱり貴方が主人公なのだから。


さて、無関心な貴方がここまで読んでくれているのなら貴方自身の話をもう一度読み返してみると良い。


関心は興味へと。

次へと繋がっていくから。


埋もれゆく貴方はその先を作る貴方なのだから。

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