5.女勇者の紋章™

 

◆ミナァート王国・青空市場バザールが開催されている中央広場――


女勇者タカコ「うわぁ~い、とってもイイ買い物しちゃいました~♪」

男商人ユウジ「そうだな。精霊の加護が宿った「疾風の外套ローブ(効果:移動速度UP)」は

    めったに市場に出ないぞ。飾り紋様デザインもオシャレだし、かなりの掘り出し物レアアイテム

    だったな」

女勇者「今度これを着て冒険するのが楽しみです♪ ちょっと高価でしたけどね、

    経費になると思えば――」

男商人「あー…すまん女勇者タカ、それ経費にできるか微妙だわ」

女勇者「えぇ~またこのパターンですかぁ!?」(>△<。)



女勇者タカコ「むぅーそれじゃあ商人ユウジさん、どうして仕事のために購入した洋服ローブが「被服

    費」として経費にできないんですか?」

男商人ユウジ「うむ。例えば、仕事で着る服といえば「背広スーツ」が思い浮かぶけど……」

女勇者「そうですね。もちろん「背広スーツ」の購入代は経費に――」

男商人「できないぞ。「スーツ代」は経費認可されない定番の費目だな」

女勇者「えぇーっなぜにWhyホワイっ!?」

男商人「昭和49年、京都地裁判決にて某大学教授の「スーツ代は必要経費である」

    という主張が退けられたんだ。それ以降、この判例が「被服費スーツ代の経費性」

    を判断する基準になっている」



【被服費の経費性に関する考え方】by京都地裁

 被服費は、次の理由から一般的に「家事費個人的支出」と解するのが相当である。

 ・誰もが必要とする

 ・個人の趣味嗜好によって種類・品質・数量等に差異がある

 ・耐用年数にもかなりの個人差が在する



女勇者タカコ「あ、これってこの前の「天翼馬ペガサスエサ代」と同じ理屈ですか?」

    (※第5~7話参照)

男商人ユウジ「その通りだな。食事代と同様に被服費も「事業に関わらず、日常的に、

    誰もが必要とする支出」として「家事費」と見なされるから、事業上の

    経費にできないんだ」

女勇者「けど商人ユウジさん、確かに肌着や靴下とかは「普段着家事費」かもしれないけど、

    「背広スーツ」なんて仕事以外で着ないんじゃないの?」

男商人「そうでもないぞ。例えば、会社帰りに背広スーツを着たまま買い物に行ったり、

    飲み会に参加したりするだろ? あとは冠婚葬祭に着ていく事もあるか

    もな。これらは「日常的な使用家事関連費」と見なされるんだ」

女勇者「うぐぐ、社畜向けの奴隷服のくせにぃー…」

男商人「紳士服業界に謝れい言いたいことは超わかるが!。そもそも「背広スーツ」は燕尾服テイルコートの裾丈を短くした部屋

    着・乗馬服・軍服が起源ルーツだから元から仕事着ビジネスウェアじゃないんだよ」

女勇者「ちぇ、ヤツ京都地裁はとんでもないモノを盗んでいきました。あなた個人事業主の被服費です」

男商人「俺の被服費ポケットには大きすぎらぁ」



男商人ユウジ「一方、警察職員の「制服」や工場の「作業着」のように『職務命令で着

    用し、且つ職務以外では着用できないような被服費』は経費にできるぞ。

    ちなみに被服費には洗濯代クリーニングも含まれるから「背広スーツ」の洗濯代クリーニング代は経費に

    できないが「制服・作業着」の洗濯代クリーニングは経費にできる」

女勇者タカコ「なんと銭○警部とっつぁんのひとり勝ち!」

男商人「あれは制服じゃないだろいつも同じトレンチコートだけど……。だが安心しろ、「制服・作業服」を必要

    とするような特殊職でなくとも『職務で専ら着用し、且つ地位・職種に

    応じて勤務上一定の種類・品質・数量以上の被服を必要とする場合』に

    は、仮に「背広スーツ」だとしても「家事関連費」に含めてOKだと京都地裁

    は考えを示しているぞ」

女勇者「おぉ~なるほど、それじゃ今回購入した「外套ローブ」も費用按分すれば少し

    は経費にできるんですね♪」



※「家事費」と「家事関連費」の違いとは

 ・「家事費」とは、日常生活で必要となる個人的支出の事。経費算入は不可。

 ・「家事関連費」とは、個人的支出と事業経費の両方の性質をもつ費用の事。

   原則として経費算入は不可だが、個人関連プライベート事業関連ビジネスを明確に区別できる

   場合には、費用按分した上で事業関連の部分のみ経費算入して良い。



男商人ユウジ「それでは最後に「被服費」を経費にする裏技を紹介しよう」

女勇者タカコ「ちょ、そんなのあるなら最初に教えて下さいよ……」

男商人「よく異世界が作品舞台ファンタジーRPGゲーム小説ラノベには『勇者の紋章』とか登場する

    だろ?」

女勇者「あぁ~あれカッコイイですよね! いずれ私も『女勇者の紋章』とかを

    作ってみたいと――」

男商人「それを屋号ロゴとして登録するんだ」

女勇者「……はい?」

男商人「商標登録もオススメだぞ」

女勇者「…………はいはい?」

男商人「あとは商標登録した屋号ロゴを衣服に刺繍すれば、事業用の仕事着だと言い

    張れるぞ」(ーωーd+)ヤッタナ

女勇者「そんな節税用の『紋章』とかイ~ヤ~だ~!」(/>△<)/


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