感情戦争
具丼
第1話 感情戦争~終末世界への軌跡~
「はぁっ、はあっ、はぁ、なんでっ! 友軍が俺たちを攻撃してくんだよっ!」
降りしきる雨の中、青年はただひたすら走っていた、青年の名はケルビン、3ヶ月前大学を卒業し自分の町を思い、町を守るために軍に入隊し勤務していた。
それは突然のことだった、隣国の軍隊との通信が突如として途絶えたのだ。それを調べるために送られた調査隊は
「この国は終わりだ! 警備を固めろっ!」
との通信を最後に連絡が途絶えた。
青年は覚悟を決めた、たとえどんなことがあろうとこの町を、故郷を、みんなを守り抜くと。青年の町は都会に比べれば不便が多いが青年はそこも含め大好きだった。青年は今。逃げ出している。
雨の中を走り。
転げても。
走る。
ふと青年は振り返る。それがダメだった。「パンッ」湿った銃声と共に青年は倒れた。
青年の死体の元に発砲した男が近寄った
「お前のせいでぇえ! 靴がぁ!靴が汚れたじゃねえかぁ! 死ねっ! 死ねっ! 死ねえっ!」
男は撃ち続けた。
狂っている。
この狂気が人を包んだような行動は世界で同時多発的に起きていた。
北アメリカ大陸では皆が笑いながら遊び狂い。
南アメリカ大陸では皆が悲しみに暮れ。
ユーラシア大陸付近では皆が怒り狂い、血の雨を降らし。
オーストラリア大陸では皆が驚きを渇望し。
アフリカ大陸では皆が全てに恐怖し。
唯一無事だった東南アジアの人々は各大陸の正常な人間と連絡をとり、3つの事実が分かった。
1つ、各大陸はそれぞれ5つの感情に支配され、狂気で満ち溢れている。
2つ、各大陸にそれぞれ「王」が存在する。
3つ、世界は変わってしまった。
この2日後、各大陸の王が声明を発表。
喜びの王
「全ての難民、移民を受け入れ、アメリカはさらに自由の国を目指す。変わらず旅行者は我が国を楽しみに来てくれ」
悲しみの王
「全ての移民、難民の受付を拒否、我が国は鎖国致します。貿易も全て停止。旅行者は受け付けます」
怒りの王
「ユーラシア大陸全土の全ての国境を失くし、怒梅亜帝国の樹立をここに宣言する。またしばらくの間我が国は鎖国し、敵対する国を全て焼き払う。旅行者は受け付ける」
驚きの王
「我が国は今後とも変わらず世界の国々と貿易、また他の活動も続けていきます。」
恐怖の王
「アフリカ大陸全土の国を1つにまとめあげ新国家サルバティンの樹立をここに宣言します。また我が国は貿易、その他の外交を止めることはしません。旅行者も受け付けております」
結果として世界は新しい5つの新国家に支配された。その後唯一どこの支配も受けなかった東南アジアの人々は日本が指揮し、まとまり、新国家ジャローゼが生まれた。その後ジャローゼと怒梅亜帝国との仲が壊れ、世界を巻き込む戦争が起き、その後休戦条約を結んだ。この新たな国家が生まれ、休戦条約を結ぶまでの12年間の騒動を世界では「感情戦争」と呼んだ。
それぞれの王の目的は不明。王が人に何かしらの影響を与えていることが判明。旅行者は全員帰らず。各国に連絡はできるが支離滅裂である。外交をしている国はなんとか友好条約を結ぶことができたが、旅行者は依然行方不明になる。王は自らを「
人は皆、狂ってしまった。
「いや元々隠していただけなのかもしれいない、人は皆心の中に狂気を宿している」
とある人間はそう言った。
これはそんな世界で産まれ感情が無い灰無と全ての始まり華爛がこの狂った世界を旅し、灰無が感情を取り戻す物語である。
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