彼女に浮気しているところを見せつけられたけど、特に何も言わなかった。(仮)
さーれ
彼女に浮気しているところを見せつけられたけど、特に何も言わなかった。(仮)
第1章
第1話
(・・・・・・・・やっぱ、そーだよね)
俺の前方にはよく知った女性が1人の男性と腕を組みながら歩いている。
すると、その女性がふと後方を見て俺と目が合った。
それはまるで、俺がいるのを分かっていたように、真っ直ぐ俺の目を捉えた。
そして彼女は、
──────────笑った。
***
〜〜〜〜♪
「・・・・・・・」
この部屋には今、軽快な音楽が流れている。
〜〜〜〜♪♪
「・・・・んん」
否、流れ続けている。
時間にして実に9分。これが仮に環境BGMなどの類であれば、癒しにもなるだろう。
しかし、実際に流れ続けているのはそのような心に安らぎを与えてくれるものではない。
加えて今は朝である。
お母さんのお腹の中のようなあたたかさのお布団にくるまっている彼には、煩わしいことこの上ない。
故に、機嫌を少し損なってしまっても誰も文句は言えないだろう。
〜〜〜〜♪♪♪
その音楽を発しているスマホはまるで、スマホの向こう側にいる人間のイライラを表すように、けたたましくなり続けている。
そしてやっとのことで、彼の意識は覚醒し始める。
「・・・んー?でんわ?うるさすぎてミサイル飛んでくるのかと思ったぁ・・・」
その音楽が着信音だと気づき、スマホの画面をタップすると、さっきまでまるで某SNSのリプ欄のようにやかましかった音楽は聞こえなくなった。
これでJアラートは聞こえなくなり、ミサイルの恐怖に怯えなくて済む。
などとくだらないことを考え、心の平穏を取り戻したところに、軽快な音楽の代わりに怒気を孕んだよく通る声が届いた。
「おっそーーいっっっ!!!何回電話かけたと思ってるの?私からの電話にはすぐ出てって言ってるじゃん!!」
警報通りミサイル発射。避難しとけばよかったね。
「・・・・やっぱあれはJアラートだったのかな」
「・・・なに訳わかんないこと言ってるの?」
その綺麗な声からは呆れのようなものが窺える。
「ごめんごめん、なんでもないよ。それより起こしてくれてありがとね」
「・・・まぁいいか。お礼なんていいよ、私も玲と一緒に大学行きたいもんね。」
そんな嬉しいことを言ってくれるのは、小野寺琳月(おのでら りつき)。俺、西片玲(にしかた れい)とお付き合いをしてくれている同い年の子だ。ちなみに俺たちは同じ大学の2年生で学部も同じだったりする。
そんな琳月は朝でテンションがあれな俺の言葉をスルーせず、一応反応してくれた。
ありがとう。そしてありがとう。
その後、俺は感謝の思いを胸に抱きつつ、少しの間待ち合わせ場所などを話し合った。
「─────じゃあ2号館の前で集合ってことで」
「りょーかい!今日は絶対私が先に着くからね!
それで後から来た玲を嗤ってあげるわ」
「じゃあいつも通り後に着いた方が飲み物奢るってことにしよか。
─────ちなみにこの前みたいに、俺が勝つ。異論は認める。」
そんなくだらないことを話しながら、講義の前に集まる場所や時間などを決めた。
「っぷ、なによそれー
とーにーかーく、お互い時間に遅れるのは絶対回避!いーい?」
「そだね。─────まぁ俺が勝つけどね」
「まだ言うかっ?!」
琳月と一緒に過ごすのはとても楽しい。
2人でふざけ合いながら、恋人ではあるが時には親友のように戯れるのが好きだった。
だから、
この幸せな時間はずっとずっと続いてくれるものだと思っていた。
そうなれば、俺の性格や考え方も少しずつ改善していくと思っていた。
・・・・・・・・・あの光景を見るまでは。
────────────────────
最後までお読みいただきありがとうございます!
書くことが初めてで決まっていない所も多く、拙い部分やおかしい箇所等が多いとは思いますが、よろしければこれからもどうぞお願いいたします。
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