第109話 フ・リ・ガ・ナ

という訳で、整理してみた。

※注1 「名前:フリガナ:職業:澄空悠斗との関係性」となっている。

※注2 無理して読まなくても、特に支障はない。



澄空 悠斗 :スクウ ユウト :ウエポンテイマー :本人

剣 麗華 :ツルギ レイカ :ソードウエポン :同居人

賢崎 藍華 :ケンザキ アイカ :ナックルウエポン :クラスメイト

三村 宗一 :ミムラ ソウイチ :ランスウエポン :クラスメイト

本郷 エリカ :ホンゴウ エリカ :支援士(サポーター) :同級生

峰 達哉 :ミネ タツヤ :砲撃手(ヘビーガンナー) :クラスメイト

小野 倉太 :オノ ソウタ :アックスウエポン :クラスメイト

新條 文 :シンジョウ フミ :新聞部員 :クラスメイト

後藤 雅 :ゴトウ ミヤビ :KTIスパイ :クラスメイト

緋色 香 :ヒイロ カオリ :アイズオブエメラルド兼1-C教師 :担任

緋色 翔 :ヒイロ ショウ :アイズオブゴールド :故

二雲 楓 :フタクモ カエデ :KTI首領兼五帝 :先輩

前田 朱音 :マエダ アカネ :KTI :先輩

河合 渚 :カワイ ナギサ :KTI :先輩

真行寺 真理 :シンギョウジ マリ :KTI :同級生

櫃元 彩夏 :ヒツモト アヤカ :生徒会副会長 :先輩

大岡 忍 :オオオカ シノブ :KTI親衛騎団 :同級生

飯田 謙治 :イイダ ケンジ :五帝 :先輩

長尾 潔 :ナガオ キヨシ :生徒会長 :先輩

天竜院 透子 :テンリュウイン トオコ :五帝 :先輩

十六夜 朱鷺子 :イザヨイ トキコ :BMPハンター指導者 :大先輩

ミーシャ ラインアウト :養護教諭 :保健室の先生

上条 弦 :カミジョウ ゲン :研究者(BMPと幻影獣関連) :所属長

城守 蓮 :シロモリ レン :BMP管理局長兼ブレードウエポン :仕事仲間

志藤 美琴 :シドウ ミコト :BMP管理局員 :仕事仲間

雛鳥 結城 :ヒナドリ ユウキ :BMP管理局員兼BMPハンター :仕事仲間

二宮 修一 :ニノミヤ シュウイチ :結界士兼BMPハンター :同職業

緋色 瞳 :ヒイロ ヒトミ :アイズオブクリムゾン :同職業

臥淵 剛 :フセブチ ツヨシ :ハンマーウエポン :同職業

茜嶋 光 :アカネジマ ヒカリ :アローウエポン :同職業

犬神 彰 :イヌガミ アキラ :突撃者(アサルト) :同職業

坂下 陸 :サカシタ リク :ダガーウエポン :同職業

剣 源蔵 :ツルギ ゲンゾウ :首相 :同居人の祖父

剣 碧 :ツルギ ミドリ :首相夫人 :同居人の祖母

剣 義人 :ツルギ ヨシヒト :剣財閥総帥 :同居人の父

剣 月夜 :ツルギ ゲツヤ :剣財閥総帥の妻 :同居人の母

尾藤 雪音 :ビトウ ユキネ :首相秘書 :同居人の祖父の秘書

佐藤 重治 :サトウ シゲハル :アドバンテック新月社長 :クラスメイトの前職業の後任

式 春香 :シキ ハルカ :女子高生 :クラスメイトの知り合い

式 雪風 :シキ ユキカゼ :春香の弟 :クラスメイトの知り合いの弟



「ふぅっ」

清々しいほどのドヤ顔のナックルウエポン。

それもそのはず。


上記人物整理を、どこからか取り出したA4紙に、わずか数分で書き上げたのだ。

しかも速記ではない。

ワープロソフトで打ち出したかのような几帳面な文字である。


「ス……す、すす凄いデス……」

「手の動きが見えなかった……」

「元々反則スペックのくせに、どんだけオプションがあるんだよ……」

エリカ・峰・三村が驚愕する。


「でも、なんで急にこんなことを?」

という麗華の問いに。

「澄空さんに関係しそうな人を一度整理しておきたかったもので。補足情報や、他にも関係者が居れば挙げてください」

と答える藍華に。

「いや、完璧に見えるよ」

三村が答える。


「でも、おじい様はともかく、なぜ私の家族全員を?」

「これから、澄空さんに関係しそうだと思いまして。余計な事でしたか?」

「……いや、その通りだと思う。さすがはナックルウエポン」

微妙な表情ではあるが、素直に納得しているソードウエポン。


「剣の家族か……。源蔵首相や義人社長は、誰でも知ってるけど」

「剣碧氏もだろ、三村」

「『聖魔剣士(ツインソード)』だったっけね。確かに、とんでもない婆さんだったよ……」

「今は、同盟国デ指導者をされテるんデスよね」

三村・峰・小野・エリカが麗華の家族について、それぞれ発言する。

しかし、一人出てこない。


「月夜……って言うんだな、剣のお母さん」

「うん。月夜は私の母親」

三村の言葉に、微妙な表情のまま答える麗華。

というか、祖父が『おじい様』で母親が『月夜』という時点で、明らかに微妙である。


「どんなヒト……なんデスか?」

エリカが恐る恐る聞く。

「うーん……」

話したくない、という訳ではないようだが、どう話したものか迷っている様子の麗華。


その様子を見て、藍華が口を挟む。

「実は、我々の間でも月夜さんというのは謎の多い人でして。いわゆる『名家出身』という訳でもないようですし、BMPハンターでもない。ソードウエポンに似て大変美しい方なのですが、ほとんど公に姿を見せたことがないんですよね」

「気を使わないでいい、ナックルウエポン。月夜は名家出身でないというより、身元がはっきりしてなかった」

さらっと爆弾発言を言う麗華。


「身元がはっきりしてないって……」

「おじい様もおばあ様も家柄にはあまりこだわらない人だったけど。さすがにみんな驚いたって言ってた」

絶句する三村に、やはりさらっと答える麗華。

どうも、そのこと自体に対する引け目等はないらしい。


「い、いわユル、大恋愛っ。というヤツなんでしょうカ?」

恐る恐るだが、興味がないわけではないらしいエリカが聞く。


「お父様はそうだったと思うけど、月夜は分からない」


また、麗華が爆弾発言をする。


「ちょ、ちょっと待ってくれ、剣。こういうこと聞いていいかどうか分からないんだけど、それってひょっとして……」

さすがの三村も慌てるが。


「違う。財産目当てとか、何らかの陰謀とかではなかった。私の家族は、そういうことには敏感だったから。ただ……」

「ただ?」

峰が問う。


「……やっぱりうまく言えない。月夜のことは今でも良く分からない。もう10年も会ってないし」

「「じゅっ……!」」


三度目の爆弾発言に、メンバー一同静まり返る。


「うまく言えなくてごめん。ただ、あえて言うなら『予感』がある。月夜は悠斗君に関わってくる気がする。良い方か悪い方かも分からないけど。みんなも、できたら、この話は覚えておいてほしい」


◇◆


だいぶ、シーンとしてしまったが。

実はまだ、賢崎藍華謹製の人物紹介書は全ての謎が解けていない。


麗華の話を心に刻みつつ、悠斗がいないので、三村が話を進める。


「その下の四人については、俺達全く知らないんだけど」

「まず、尾藤雪音氏は、剣首相の秘書ですね。優秀ですが、特に何の変哲もない秘書さんです。ただ、ご結婚はまだのようで。首相秘書という肩書と、美しい上に少しキツめの容姿のせいで、男性の方が尻込みしてしまうようですね。本当は、高望みをしない、家庭的な方なんですが」

その情報をいったいどうしろと?


「佐藤重治氏は、賢崎さんの後任ということだが。俺たちに関係あるのか?」

藍華の結婚カウンセリング風情報を華麗にスルーして、峰が問う。

「佐藤社長は、私が小さい時からの知り合いでもありまして。色々と個人的な頼みごとをしています。非常事態の時には、私の名前を出せば力になってくれるはずですよ」

「なるほど。それはありがたいね」

小野が感想を言う。


「デ、あの? そのさらに下ノ、二人なんデスけど……?」

「ギャグって訳じゃないよな?」

と、エリカと三村が言うのも無理はない。


式春香と式雪風。


『職業:女子高生とその弟』

って、なんやねん。


「……えっと、この二人はですね……」

いきなり歯切れの悪くなるナックルウエポン。


「その。式春香は、賢崎一族の……。いわゆる『切り札』です」


「『切り札』って、BMP能力者なのか?」

「私も聞いたことがないけど」

三村と麗華が反応する。


「非常に強力なBMP能力者ではありますが、BMPハンターではありません。BMP管理局に登録してませんから」


「それは……」

「ご想像の通り。賢崎には、有事の際のため、そういう秘密部隊のような集団が存在します。実は、私も全員は知らないのですが……。式春香は、その中でもおそらく最強のBMP能力者です。……多少、ムラっ気が強いですが」

峰の問いに、麗華に続いての爆弾発言で答える藍華。


「そんなことバラシテ、大丈夫なんデスか……?」

「非常にまずいです。絶対に漏らさないでください」

「じゃあ、なんで漏らすんだ……?」

という三村のもっともな疑問に。


「本来、私でも彼女らと関わることはあまりないはずなのですが……。かなり予想外の方向から、彼女の名前が挙がってまして……。そのうち、澄空さんに関わってくると思います……」

ソードウエポンをちらちら見ながら、非常に歯切れの悪いナックルウエポン。

「? 困った人なの?」

と、素直な麗華。

「いえ、基本的には大丈夫です。大丈夫な女性です。……たぶん」

『基本的には』と『たぶん』が凄まじく不安にさせるセリフだったが、そもそも秘密部隊の人となると、あまり詳しくも聞けない。


「エ、えート……。じゃア、式雪風さんハ、どういうヒトなんデスかっ?」

「雪風は……そうですね。春香の弟であるという以外は、至って普通です。可愛い男の子ですよ」

空気を切り替えようと質問する健気なエリカに、これまた微妙な返答をするナックルウエポン。

(この状況で、『普通の可愛い男の子』とか言われてもなぁ)というのが、三村達の感触である。


まあ、それはともかく。

あと一人。


「じゃあ最後に、この『緋色 翔』というのは?」

峰が聞く。

「緋色教授の兄で、アイズオブクリムゾンの弟にあたりますね」

「3人兄弟姉妹だったのか……?」

「ええ。残念ながら、10年ちょっと前に亡くなっていますが」

「…………」

『故』と書いてあるので分かってはいたが。

全員シーンとしてしまう。


「皆さん、知りませんでしたか……。まあ、古い話ですから」

「有名ナ人だったんデスか?」

懐かしむような仕草の藍華に、エリカが問う。


「その筋では。緋色翔。称号は、『アイズオブゴールド』。アイズシリーズで最も攻撃的なBMP能力、と言われていました」

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