春そよぐ戦

ににまる

オープニング

神界のざわめき

その日、天界は大騒ぎだった

一柱の神が消えたのだ


 バン!と大きな音を鳴らしながら、扉を開けた使いと見られる男が報告する

「大変です閣下!春戦ぐ神が消えました!」

閣下と呼ばれた眉間に皺を寄せた大男は、筆を手から滑らせわなわなと震える


 落ち着くんだ、あの兄が外に出る時は必ず手紙に詳細を書くように言っている

 それを読んだのち迎えにいけばいい

きっと東の庭に大きなウサギが見えたとか、そんな話なのだ


 そこまで考えたのち、大男は大きく深呼吸をして使いを見る

「置き手紙にはなんと?」

「それが...」

使いはあわあわとしながら手紙を見せ、中身を読む

「下界に行きます...とだけ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る