思春期女子中学生が異世界召喚されたけど秒で帰る

てぃぷる

第1話

今年の春に中学生になった鈴木です。

今はトゥべリコルという場所にいます。そうです、日本ではありません。


「よくぞ来てくれました!貴方様がいれば私たちの未来は安泰です。」


たくさんの人に囲まれ祝福されている。これは異世界ってやつじゃないの!!


「よくぞ来てくださいました聖女様。あなたを待っていたのです。」


この人は歳の割に髪がふさふさで髭がモサモサの毛の耐久力強めの王様みたいです。

毛がある校長先生みたい。


「私の未来は安泰じゃないです。帰らしてください。いいえ、帰ります。」


まるで漫画のような展開。去年の私だったら喜んでたね!

だけど、もう子供じゃないから。

来週には期末テストがあるし、異世界転生とかマジ困る。


「聖女様。あなたがいなければ我が国は、この世界はまた暗闇に包まれるでしょう。

そして、非常に非常に残念ですが帰る方法は検討がついてないのです。古来にわたる文書には聖女召喚についてしか記されておらず、帰る方法については、聖女様が浄化活動を行ってくださるのならば!!!我々も精一杯支援いたしましょう。」


「…」


開いた口が塞がらないってこういう事ね。

異世界ってことだしお母さんとお父さんもいないから、本当はちょっとだけ嬉しいなって思ったよ。

だけど、ずっと会えないは違うじゃん。ママのご飯食べたいよ、


「それはあまりにも酷です!オンティア様。」


「ほう。では何か他に案があるのかな?ソリア君。」


何様だよ!王様だよ!!校長先生オンティアっていうんだ。美味しそうだな。

てかてかてかてかソリア君?!めっちゃ眉目秀麗…好き。庇ってくれたの嬉しい。

もう帰らないくてもいいかな。ソリアって苗字かな?

鈴木ソリア、うん悪くない!!


「聖女様は恐らく10歳くらいの年齢でしょう。そんな小さな子供に、ゴールが分からない旅に出ろというのはあまりにも酷いです。オンティア様にも確か同じ歳の子供が居たはず。自分の子供がもしこんなことを強要されたらどう思われますか?」


「うーむ。可愛い子には旅をさせよとは言うものの。もし愛しの娘が旅をするならば!

野宿なんて無論!!棘ひとつにも触れさせんわ!」


はわわ…優しい好き!これは優しさに漬け込むチャンスでは?

私は今10歳程度に見られていて、可哀想な可愛い子。聖女?っていう大事な役割を持っているみたいだし…


「いくつかの条件を飲んでくださるのならば、浄化をしないことも無いです。」


「誠か?!浄化を行うならばどんな条件でも飲もうじゃないか。聞かせてくれ。」


「まず1つ目、帰る方法を探すこと。2つ目、衣食住の支援をすること。3つ目、この世界のことを詳しく説明すること。」


「どんな無理難題が来るかと思えばそんなことか。それならば必ず約束しよう。帰る方法はこちらに任せておけ。古来の文書に聖女召喚について記されてあったのなら、帰る方法もきっと記されているだろう。衣食住はもちろんの事、この世界については教師をつけよう。」


げっこの世界に来ても勉強かよ。まじ病む。

でも、そんなことより


「最後に4つ目。」


「なんだ?」


「ソリアきゅんのブロマイドを毎日送ること!!」


「は?」


「はい?」


困惑してるソリアきゅんもしゅき!!はい?って可愛すぎかよ!


「ぶろまいど?というのは分からないが、ソリアの婚約者になればいいのではないか?」


なんと!!!校長先生良い奴だな〜


「お待ちください!聖女様は10歳です。私と8歳も差があるんですよ。婚約者ならば他にいい奴がいると思います。」


ソリアきゅん以外にいないのに。ぴえん、


「ならブロマイドではなく手紙をください。毎週一通。」


「手紙?」


「はい。推しの直筆。何よりも私に向けて書いたという事実!これは何よりも価値があるものです。」


「聖女様、私の手紙など処分に困るだけですよ。それに、なぜ…」


困ってるのも可愛い。


「手紙送ってくれないならやらない。聖女なんかしない。」


ここは駄々をこねる作戦。聖女しなくて困るのはお前らだろ。タジタジなソリアも可愛いね。もう手紙よこすしかないよね💦


「ソリア。断る理由はないね?」


「はい…。」


校長よくやった!!!


「そうだ!浄化と言っても1人だと心寂しいだろうし、危ないだろう。ソリアと一緒に行くといい。ソリアも良い社会勉強になるだろう。」


校長…天使に見えるよ。ふさふさなのもオシャレだね。


「……分かりました。」


「うむ。では今日はこれにて解散。聖女様とソリア君はこれから旅に出るんだ。少しばかり挨拶しておきなさい。朕は今から湯を浴びてくるとするかね。」


朕…


「聖女様。まさかこんなことになるとは思ってもいませんでしたが、良い機会です。これからよろしくお願いします。お名前を聞いても?」


「鈴木です。よろしくお願いします。」


「ではスズキ様。お部屋の準備ができ次第お呼び致しますね。」


「はい。」


もう行ったかな。部屋の準備が出来次第ってソリアがするのかな?興奮してきたな。

いい匂いだったな、鈴木って言ってたこれもう結婚だな。


お母さん、お父さん異世界って良いね。やっぱりあとちょっとだけここに居るね。







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