第27話 side:死刑囚【死という名の救済】

 死刑囚って言うのもつまらないな。せめて誰かと関われたらありがたいのだがね。

 ま、僕は『特別』だから近くに他人はよって来ない。

 暇な時間を過ごしていたら、不思議な事に大きな地震が起きて、数分後にネズミが侵入して来た。


 「数分間に異常事態が二個もあるとわね」


 大きな地震にネズミか。

 しかもそのネズミから殺意を感じる。そして殺気も。

 この僕を確実に殺せる存在だと言う事は、何らかの病気があると思う。

 取り敢えず手に持っている推理小説で潰して殺す事にした。

 刑務官もしっかりしてほしいものだ。


 《経験値を獲得しました》


 《ステータスを獲得しました》


 そんな言葉が脳内に流れた。


 「ステータス」


 名前:水川奏多

レベル:1

職P:1

能P:2

HP5/5

MP1/1

筋力:20

敏捷:13

防御:7

知力:2

器用:3

職業:無職

技能スキル:【殺戮】【同族殺しLv16】【同族喰らいLv3】【武芸の才】【虐待Lv3】【殺しの極意Lv2】【悪食Lv5】

耐性スキル:【物理攻撃耐性Lv3】【自然影響耐性Lv2】

魔法スキル:無し

強化スキル:【殺人衝動LvMAX】【狂人の波動LvMAX】【殺戮の鼓動LvMAX】


 ふむ。これはなかなか面白いね。

 これは外に出なくてはならないだろう。

 ちょうど地震の影響か分からないけど、鉄格子も脆くなっている。今なら、蹴りだけで破壊出来そうだ。

 その前に職業を選ぼう。

 ⋯⋯へぇ。これは僕にピッタリじゃないか?


 『殺戮者』これが僕の職業だ。

 さて、外に出よう。


 蹴りの一撃で鉄格子は破壊出来た。後は外に移動するだけだ。

 刑務官が僕に気づいて無線機を使おうとしていたが、上手く起動出来ないようだ。

 慌てた様子で銃を抜くが⋯⋯僕の前では遅すぎる。


 「短い人生にさようならを告げなさい」


 「ごふ」


 目を刹那の間に潰して首を破壊した。銃は貰っておく。


 《経験値を獲得しました》


 《【同族殺し】の効果で経験値が増加します》


 《レベルが⋯⋯》


 今の一瞬でレベルが5に上がった。

 良いスキルを持っているようだ。

 獲得出来るスキルの【アイテムボックス】【鑑定】他に強化系スキルを獲得した。

 他の囚人達が入った牢屋に刑務官が視界に入る。

 刑務作業は僕達にはないからね。


 「おい、そこのお前⋯⋯」


 「銃を向けるならすぐに撃て、相手は待ってくれないぞ」


 視界に入った刑務官を殺してレベルが8に上がった。


 《条件を満たしました。固有スキル【地獄門】を獲得しました》


 牢屋の中を見れば驚愕した囚人が僕を見上げていた。


 「なんだ、お前は」


 「ここから出たいなら、僕の奴隷になる事を誓え。そしたら出してあげる」


 「はぁ? ふざ⋯⋯」


 殺した刑務官から奪った銃でそいつを殺した。

 嫌なら経験値に変えるのが一番だろう。

 他の奴らは奴隷になると名乗り出たが、ぶっちゃけ邪魔だと思ったので全員殺した。

 食料になるのでアイテムボックスにしまっておく。

 ここを出る頃にはレベルは11へとなっていた。


 「あぁ。久しぶりのお天道様の下だ。日本はだいぶ変わったようだね」


 さて、まずはまともな服を探して、武器も探さないとな。

 銃弾が尽きたら終わりだ。


 美容室があったので中に入る。

 地震が起こった後でも立派に残った鏡の前に立つ。

 伸びきった銀髪と紅色の瞳がしっかりと反射している。

 ハサミがあったのでそれを今後は武器として使おう。今は髪の毛を切る事にした。


 「うん。昔の自分だな」


 その次にコンビニが近くにあるので向かう事にする。

 それにしても、さっきからそこそこ遠くにある木からすごい殺気を感じる。

 あれは危険だね。

 遠くにある筈なのに、近くにあるようにでかい。


 娘達は生きているだろうか?

 生きているだろうな。なぜなら僕の娘だから。僕の嫁の子だから。


 「誰かあ! うちの夫を助けてえ! 誰かあ!」


 叫んでいる女性がいた。

 瓦礫に旦那が埋まっているようだ。必死の形相で助けを呼んでいた。

 これは僕を呼んでいる。助けてあげないのは可哀想だ。


 「大丈夫かい。助けてあげるよ」


 「あ、ありがとう、ございます」


 少し顔を赤らめて僕を見上げてくる。

 瓦礫に埋まっていた旦那の方は安堵した顔になって手を伸ばしてくる。

 良い顔だ。


 「ほら、助けてあげるよ」


 僕は手を受け取らず相手の首に手を回す。そして強く力を込めた。

 ゴキっ、そのような音が響いて男は死に、僕の肥やしとなった。

 【同族殺し】と【地獄門】の効果でさらに経験値獲得は加速している。

 僕は運が良いようだ。ここまでレベルが上がるのが早いとは。

 力が上がるのが感じるよ。


 「な、なんで?」


 「だって、死んだらその後はない。最高に楽になる。助けてあげたよ」


 「ふ、ふざけないでよ!」


 先程までの表情から一変して鬼の形相へと変わった。

 ああ。そうだね。これは良くなかった。


 「ちゃんと貴女も送り届けるよ」


 「え?」


 踵落としで頭を陥没させて絶命させた。

 これで彼女も救われた。きっと僕に感謝している事だろう。


 「ひ、人殺しっ!」


 人の目が多いようで僕を悪魔のように見てくる。

 僕は普通の人間だと言うのに、失礼だね。⋯⋯こんな世界だ。きっと皆楽になりたいだろう。

 大丈夫。楽にしてあげよう。


 無我夢中で人助けをしていたら途中でモンスターのようなモノも殺していた。

 レベルは20へと上がっていた。


 「ん? なかなかに大きいゴブリンだな。【鑑定】」


 ホブゴブリン、か。

 ゴブリンの上位の種族のようで武器に肉切り包丁を持っている。

 ホームセンターまで向かっていたけど、ここで武器が手に入りそうである。

 今の僕のステータスなら電柱を抜き取ってホブゴブリンに向かってぶん投げた。


 不意打ちに反応が遅れたホブゴブリンは電柱を諸に受けて大ダメージが刻まれた。

 それでも残りHPが304あるので相当タフそうだ。

 配下と思われるゴブリンが来たがただのゴミ。パンチで顔を粉砕した。


 「さあ、僕に武器をちょうだい」


 ホブゴブリンが横薙ぎで肉切り包丁を振るうが、遅いので簡単に避けられる。

 この程度の技術で僕を殺すと言うのか。殺気は感じるけど当たらなければ意味が無い。

 僕は振り終わった腕に絡みついて関節を折った。


 『ぐがあああああ!』


 折ったので持っていた肉切り包丁は当然地面に落とす。

 完全に落ちる前に足で蹴り上げて右手で持つ。


 「刃物はね? こうやって使うんだよ」


 正確に相手の急所を狙って切断した。

 ゴッソリとHPを減らして相手は魔石へと姿を変える。


 「きっと僕に助けを求めている人間は多い。君のこの武器で、僕は人々に救済を与えるよ。きっと娘達は理解してくれると思うよ。その糧になれたんだよホブゴブリン。喜んで死んでいきたまえ」


 《条件を満たしました。スキル【快楽殺人鬼】を獲得しました》


 《条件を満たしました。スキル【地獄の偽善】を獲得しました》




【あとがき】

この人は童顔で若々しい見た目で、爽やかイケメンと言う感じです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る