第15話 性急な王子様
即結婚。
いくらなんでも話が飛びすぎだ、
と思う人もいるかとは思いますが、
そもそも令嬢たちは
“セオ王子の結婚相手”として城に来ているわけですし、
王子が気に入った=結婚OK
という図式もおかしくはないのでした。
「けっこん…しき?」
モモナはボーっと考えています。
結婚…お菓子好きな男の人改め、
セオ王子と結婚…
いやいやいや、王子とはほぼ初対面な気がします!
普通は告白とかお付き合いとか
それなりの段階
を踏むものでないのでしょうか⁈
「待ってくださいセオ王子様!」
一瞬の一同フリーズを破ったのはカルディアでした。
「結婚式、と申されしても、お二人はほとんど初対面では…」
「だから?」
王子は当たり前なことを言ってるんですが?という具合に
しれっと
しています。
「おい、まてまて、慌てるな!
早くこの子をベッドに引き摺り込みたいのは分かるけどなぁ!
1人で早くイクのは嫌われるぞ!(くすっ)」
ガル・ガルフが微妙な助け舟を出しました。
カルディアとハリーは軽く睨みました。
モモナは意味がわからなかったので
とりあえず
うんうんうなずいています。
「私が気に入ったのだ。
私の妻だ。
私が欲しいと言ったら、いつでもいいだろ?」
さすが生まれながらの王子様です。
ジャイ○ンも真っ青な俺様理論をくりだします。
「王子落ち着いてください」
一刻も早く結婚してほしい立場のハリーでさえも王子を制止します。
「とりあえず自己紹介をしましょう!」
意外にも、1番まともな事を言ったのはモモナでした。
「それもそうだな」
性欲に支配されかけたセオ王子の脳みそも
まだ正常に稼働している部分があるようです。
「私はこのホーズ王国の第一王子、セオ。」
「私は南のアルハカ領主の娘、モモナです。」
「セオの友、ガル・ガルフ」
「セオ王子側近ハリーです。」
「モモナ様の侍女、カルディア。」
で?という空気が流れましたが、セオ王子が口火を切りました。
「モモナ、お前は我が花嫁になるべく、
辺境アルハカからはるばる王都へ来たのだろう?」
「は…(参加特典の金貨200枚が欲しくて)い。」
なんとも歯切れの悪い返事をしてしまうモモナ。
「では、問題ないな。
明日、いや今晩にでも寝所に来るように。」
「順番がちがーう!」
思わずカルディアが突っ込みました。
(突っ込むのは王子だ、という下ネタは受け付けません)
「王子、まずはモモナ様のお気持ちをお確かめになり、婚約をし、結婚してからの
ご寝所
ではございませぬか⁈」
「めんどくさい」
王子の超本音が口から出ております。
「だよなー。」
ガル・ガルフがいらん事をいいます。
「私はこの国の王子だ。
この国の女で、我妻になることに不満のある女がいるのか⁈」
とんだ俺様ヤロウです。
確かに、セオ王子は非の打ち所がない男性です。
超絶イケメンで、
細マッチョでスタイル抜群、
お金持ちで頭もよく
何しろ、そう、王子様なのですから!
「性格が…」
と、カルディアがつぶやいたのですが
小声だったのでハリーとガル・ガルフ以外には聞こえていませんでした。
ハリーは渋い顔をして、ガル・ガルフはクックっと面白そうに笑っています。
さて、モモナは、
寝所に行く
という意味がほとんど分かっていなかったので、
「じゃあ、とりあえず今晩行ってみますね!」
と元気に返事をしてしまいました…。
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