第14話 同類!
イキナリ帽子を脱がされ、
「キミだ!」
とか言われて、
ビビるモモナ。
「あっ」
よく見ると、中庭でチョコチップクッキーを半分あげた男の人です。
モモナは3秒ほど考えて、
そうかそうか、この男の人も甘いモノ大好きで、
持ってきたワゴンのお菓子が早く欲しいのだな、
という結論に至りました(なぜ)。
「はい、どーぞ、慌てなくても皆さんの分のお菓子はありますよ」
モモナが子供をなだめるような優しい口調でセオ王子に言いました。
「ぷーーーーーっ!!」
真っ先に笑ったのはガル・ガルフです。
近隣諸国に恐れられている冷血王子セオに、
こんな口をきく者は初めてだったから。
「ん?」
そしてすぐに気が付きました。
「キミ、昨日のパーティーにいた…苺のカップケーキの」
「あー、あの時の大きな人!」
モモナも思い出しました。
苺のカップケーキを6個も食べて、1個だけくれた人、です。
「お嬢ちゃん、どうしてメイドの格好してるの?
あと、そんなに小さかったっけ?」
「この服は…色々ありまして…(ウエストが肥えてドレスが入らなかった)。
昨日は高ーいハイヒールを履いていたので大きく見えたかもしれません」
「そうか!なあセオ、この子が俺のお気に入り…」
「オレのだ!」
被せ気味にセオ王子が大きな声を出しました。
「オレが探していたのは、この子だ」
モモナを含む一同ポカーン、ハリーだけは(やっぱりなぁ…)とため息をつきました。
お茶会を切り上げ、モモナはセオ王子の部屋に連れて行かれました。
(背後から感じる、令嬢たちの嫉妬の視線には気が付いていません…)
ハリーに呼ばれたカルディアも大急ぎで駆けつけてきました。
モモナはメイドさん姿のまま、
立派な椅子にふんぞりかえって自分を上から下まで舐めるように見つめる王子の前で
バツが悪そうに立っています。
職員室に呼び出されて先生に怒られている生徒にしか見えません。
(私、何かしたっけ?お菓子だべ過ぎ罪とか、都会にはあるのかな…)
「モモナ様!」
「カルディア〜!」
困り顔のモモナも超可愛いとか思いつつ、カルディアは、
「セオ王子様、モモナ様が何かご無礼をしてしまったでしょうか?
あ…アルハカのご令嬢がこのような格好をしているのには理由があり…
いかようにも謝罪いたしますので、どうぞお許しを!」
必死です。
何せ、この王子は"冷血"の異名をとるほど残忍で有名なのです。
戦場では容赦なく殺す派、です。
さてそんなセオ王子はなにを考えていたのかと言いますと、
かっわいいな~~ああああ
とか思っていました。
モモナのメイド姿も、
ちょっと怯えているミルクティー色の瞳も、
下唇を小さく噛み締めている様子も、
かっわいいいいい~~
のです。
セオ王子、すました顔をしていますが、
1番ガン見しているのは
モモナの大きなお胸で、
時々
ふるっ
と小刻みに揺れるのが
辛抱たまらん
でした。
その謎の沈黙に耐えかねたのはハリーでした。
「セオ王子、あの、お探しのご令嬢はモモナ様でお間違えないでしょうか?」
「ああ…っふ」
クールに返事したつもりのセオ王子でしたが、語尾に煩悩が溢れています。
その瞬間
カルディアは気が付きました。
気がついてしまいました!
この王子は自分と同類だーーーーー!!!
と。
モモナ様の可愛い姿を見ていたい、というドリーム&ホープがソウル
みたいなラップが脳内に流れます。
王子もまた、
カルディアのソウルに気がついた様子でした。
「…たまにメイドさんのスカート丈は短ければ短い方がいい、という輩がいますが…」
と語り始めるカルディア。
「ふ、ありえぬな。
この
少し長めのブカブカだけど胸だけキツい
という布感こそが至宝…!」
返答・セオ王子。
こくん、力強くうなずくカルディア、
ヨシ、という顔をする王子、
完全理解したモーメント…!
なにがなにやら分からない、モモナとハリーとガル・ガルフ
沈黙を破ったのはセオ王子でした。
「では、結婚式はいつにする?」
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