第8話  シンデレラチェック

「メイドさん…?」

ハリーは大事なことなので2回目を呟きました。


「メイドさん、セオ王子の好み…花嫁…」





「えええーっ!!」



脳みそが事実に追いついた瞬間でした。


ハリーの頭上に天使がパタパタ飛び回ります。


「そ、そうですか!好みの令嬢が…いやメイドさんでもなんでもいーですが、


要するに、王子のお嫁さんが見つかったということですよね⁈



よ、よかった…(軽く涙)


さ、どこです?どこにいるんです?


我が一族、いや我が国の救いの女神は!」


「それが、子犬を追いかけてどっかに行ってしまったんだ…」


「子犬…まあ、いいでしょう。

この城のメイドということは、探せばすぐに見つかります。


セオ王子、その子のお名前は?


え?分からない?では特徴は?」


しかしセオ王子はなんだか話そうとしません。


ハリーはヤキモキしながら言いました。


「仰ってくださらないと分かりませんよ。


仕方ありませんね、城中のメイドを集めますから、選んで下さい」





子犬を追いかけたモモナは、というと、

そのまま子犬と遊んでいたところをカルディアに見つかってしまい、


部屋から出たことをこっぴどく怒られた後、

カルディアが街で調達してきた夜のパーティー用のドレスに着替えていたのでした。


「仕立て屋を連れて来ようかと思ったのですが、

城に集まった令嬢方の予約でいっぱいで無理でした。


店になんとか流行りのドレスがあったので買って帰りましたが…多分サイズが…」


案の定、チビのモモナには長過ぎるドレスでした。


どこからどう見ても、子供がお母さんのドレスを借りてきたような…


鏡を見た(オシャレには疎い)モモナも、さすがに


コレはないなー


と思うレベルです。


「だ、大丈夫です!モモナさま!


こんなこともあろうかと、この靴も買ってきました!」


どこに売っていたのか、カルディアは15センチはありそうなハイヒールを出してきました。


「これ…はくの?」

モモナは平たい靴以外はいたことがないので不安で一杯です。


「はいっ!モモナさまは、これをはいて、隅っこでお菓子でもかじっていてください!」



カルディアも無茶を言うが、モモナも


「お菓子が食べられるならいっか」

と思ってしまいました。


そもそも、花嫁候補として参加特典(金貨200枚)をもらっているのですから、

多少の努力はすべきでしょう。



モモナはぐらっぐらしながらヒールを履いて、パーティーの大広間に向かいました。




そんな時、城中のメイドさんたちがセオ王子の部屋に集められて、


王子とハリーのシンデレラチェックを受けていましたが、


誰も該当しませんでした。


「どういうことだ…⁈

あの子はどこにいるんだ…!」

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