第6話  メイドさん

頭からつま先まで、大量の水をかぶってしまったモモナ。


「うえー、困った…」

モモナはびしょ濡れのまま呆然としています。


というのも、

着替えたくても、

カルディアが張り切って持ってきたドレスはどれも豪華で、

1人では着られないものばかりだったからです。


ダメ元で部屋に備え付けのクローゼットを見てみると、

隅の方にメイドさんの服がありました。


「あ、コレなら1人で着られるかも!」


白と黒の例のあの服です。


モモナはなんとか着替えることが出来ました、が、

どこからどう見ても

新人メイドさん

みたいになりました。

(本人は気にしてません) 


胸元がキツくてなかなかボタンが止まりませんでしたが…。


「あー、良かったぁ」


モモナが安心してさっき街で買ったお菓子をつまみ食いをしていると、

バタバタと1人のメイドさんが入ってきました。


「見かけない子ね、まあいいわ、

ちょっとこっちも手伝ってくれない?」


「は、はいっ」


モモナは反射的に立って返事をしていました。


「花嫁候補のご令嬢方が連れてこられた犬や猫のお世話が大変でね、

とりあえずお散歩させて欲しいの」


「やったー!」


モモナは大喜びしました。

犬ちゃん猫ちゃん、大好きだからです。

(この時点でモモナは自分が令嬢だとか、花嫁候補であることとかケロっと忘れております)



モモナがメイドさん(本物)と庭に行くと、

3匹の犬ちゃんと2匹の猫ちゃんがまったりしていました。


「この子たちよ」


「わぁ!

みんな可愛いいい子だねぇ」


モモナは躊躇なく犬に抱きつき猫を撫でまくります。


動物たちも、まるで今まで仲良くやってきたかのようなフレンドリーさで

モモナのなすがままにされています。


さっきお菓子をつまみ食いしていたので口元が甘かったのか、

犬に顔を舐め回されたりしました。


「あら、仲良く出来そうね。

じゃまかせたわよ」


忙しい本物メイドさんは去ってしまいました。


モモナはしばらく動物たちと楽しく遊んでいましたが、

その中で1匹の大きな老犬がひとり隅っこで丸まっているのに気がつきました。


黒くて大きくてツヤツヤした犬だったので、最初は岩か何かだと思っていたのです。


「あれー、ワンちゃんだ!

ね、一緒に遊ばない?」


モモナは頭をなでなでしました。


暗い老犬は「ワンッ」と吠えようとしましたが、

モモナのニコニコした顔と赤ちゃんみたいな甘い匂いで怒る気が失せていました。


「大きいねー、可愛いねー!」


老犬はモモナの顔をペロッと舐めました。


そのころ城の中に戻っていた本物のメイドさんが、


「あら、そういえばあの子に、黒い大きな犬には触らないようにちゃんと言ったかしら。

あの犬、セオ王子様にしか懐かないのよね…」


などと思っていましたが、忙しさでそれもすぐに忘れてしまいました。



小さい犬や猫と共に、モモナに黒い大きな老犬がもみくちゃにされている時、


美しい令嬢方から逃げてきてたテオ王子が庭のそばを通りかかりました。


「サンダー!」


一見、テオ王子の愛犬サンダーが、

メイドを襲っているように見えたので急いで声をかけました。


「わん?」


いつになく甘い声を出すサンダーの横には、

小さなメイドさんが笑って立っていました。


「!!!!!」


セオ王子は驚きました。かなり。


セオ王子の呼びかけに、サンダーとともに振り向いたメイドさんの胸元のボタンが弾け飛んだのです。


モモナは下着を着ていたものの、


大きな胸がプルルンとブラウスから飛び出してきました。


揺れる胸、の後に、

セオ王子はその小さなメイドさんの顔を見ました。


大きなミルクティー色の瞳、ツヤツヤの栗色の髪、白い肌、

ちゅるんちゅるんの唇

王子を見てニコッと笑った超可愛い顔、


セオ王子は心臓が口から飛び出て死ぬかと思いました(が顔には出しませんでした)。


「お…お前、歳はいくつだ?」


いきなり目の前に現れた男に、名前よりも先に歳を聞かれたことにモモナは違和感を感じることなく、

素直に答えました。


「18です」




(す



ストラーーーイク!!!)



その瞬間、セオ王子の心の鐘がリンゴン鳴り響きました。


この冷血王子の


「合法LK(ロリ巨乳)好き!」


という特殊な性癖に、



モモナはどストライクだったからです!






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